はじめに、VOID、ヴォイド、ご挨拶

はじめに

本サイトの名称であるVOID(ヴォイド)は、元々、私の個人会社の名称です。敬愛する小津安二郎監督の墓碑に謎めいた”無”の一文字が彫り込まれているところから、そう名付けました。

設立した1999年当初はゼロ、もしくはインフィニティを意味するヴォイドという言葉は、形を伴わないダークマターのようなもので、建築用語以外、あまり馴染みがありませんでした。

会社設立以前の1990年代初頭、アメリカ・西海岸の大学でフィルム撮影による映画の作り方を学んだ後、ロサンゼルスで働いていた時『グレムリン』の名匠ジョー・ダンテ監督にテレビ出演していただくというWOWOWの開局記念番組の仕事で知り合った東京の制作会社に縁あって就職しました。

その後、テレビ東京で放送された第一期の『シネマ通信』プロデューサーやディレクターとして、現在のシネコンの時代が来る前の時代、思い返せば黄金時代だったのではないかとさえ感じられるミニシアター全盛の映画界を謳歌しました。

そして、その会社を飛び出してからも主に映画関連の映像制作で世界三大映画祭を巡り、ハリウッド映画、韓流と呼ばれて親しまれた韓国映画、再興してきた日本の映画、ショートムービー、アニメ、果てはゲーム映像、さらには趣味が高じてモバイルフォトにも注力し、瞬く間に時が経っていきました。

このように好きで飛び込んだ映画界ではあるものの多忙な日々の中でふと立ち止まることもありましたが、改めて”VOID”の意味である”無”そして”無限”を映画に感じるようになりました。

洋画雑誌の編集者で非常に有能で優れた文才の持ち主である友人は、今まで観てきた好きな映画作品をたまに観返すことで映画との思い出はもう十分で、新しい映画の情報は頭に入れたくないと云っていたことをよく思い出します。

それでも自分は新しい時代の空気と添い寝をするかのような世界の新作映画に刺激されるのが楽しみで、映画はいくつになっても何かしらの人生の不足を補ってくれるものだと信じています。

2020年春、新型コロナの蔓延が直ぐ足元まで忍び寄ってきています。世界の映画界、そして日本の映画に関わる環境はこのことを契機にドラスティックに変化せざるを得ないことでしょう。

このような多難かつ柔軟な多様性を模索するべき時代だからこそ、映画が与えてくれる”VOID(無限)”の世界を皆さまと分かち合っていきたいと思います。

VOID 編集発行人 塚本修史