実話に基づく白熱の真剣勝負!リアル法廷ドラマ『シカゴ7裁判』
米国裁判史上最も理不尽とされる裁判でシカゴ7のメンバーたちはどう闘ったのか?これは不屈の精神で裁判を闘い抜いた男たちの物語
1968年イリノイ州シカゴ、大統領選の全国大会で候補者らがベトナム戦争にどう対処すべきか?についての舌戦を繰り広げていた。
その会場近く、1万5千人規模のベトナム戦争への抗議運動を行っていた活動家、市民らの一部が大統領選全国大会会場へなだれ込もうとし、警官隊からの催涙ガスとデモ隊からはビンや投石などでの激しい攻防戦となる。
騒乱の結果、数百名の負傷者を出し、16名の警官、7名のデモ隊が起訴されることとなった。騒動を先導したとされるデモ隊の7名は、シカゴ・セブンと呼ばれ裁判で争われることとなる。この物語はその裁判の記録である。
本作の見どころは、実際に起きた事変とその裁判の過程を演技達者な豪華なキャスト陣で固めている点である。
そして何といっても実話ベースのストーリーの脚本を書かせたら、現在、ハリウッドでは右に出るものはいないとされる元々、脚本家であったアーロン・ソーキン監督(『ソーシャル・ネットワーク』(2010年・アカデミー賞脚色賞受賞))による完全映画化という点に尽きる。
アーロン・ソーキンは美大を出た後の俳優の下積み生活が長く、役者として芽が出ることはなかったが、その後、劇作家として活路を見出すとその才能を一気に開花させた。
映画評論家からの受けも非常によく、『スティーブ・ジョブズ』(2015年)では、ゴールデングローブ賞脚本賞受賞、初監督作『モリーズ・ゲーム』(2017年)では、アカデミー賞脚色賞に再びノミネートされている。
本作が来年のアカデミー賞レースへどう絡むのか?今から楽しみな作品の一本。
追記※: 第78回ゴールデン・グローブ賞(2021年)では、脚本賞を受賞。
Must Point:
2007年にスティーブン・スピルバーグが本作のメガホンをとることで製作が進み、脚本はアーロン・ソーキンによるものだった。
アーロン・ソーキンはスピルバーグの名作『シンドラーのリスト』(1993年・アカデミー賞作品賞受賞)のスクリプト・ドクターをしている。脚本は名匠スティーブン・ザイリアン(代表作『ボビー・フィッシャーを探して』監督・脚本、最新作は『アイリッシュマン』の脚本)によるものだったので、そもそもシンドラーは、強力な執筆陣によるストーリー構成であった。
『シカゴ7裁判』製作当初、スピルバーグは、ウィル・スミス、ヒース・レジャーをキャスト候補として挙げていたが、全米脚本家協会のストでの製作ストップに続き、全米俳優協会までもがストに入りそうになり、何とか製作を決行させたいスピルバーグが出演者への出演料を低く抑える大胆な案を提示した。
しかし、ヒース・レジャーの急死も重なり、スピルバーグは監督から降板することとなる。
その後、監督候補は二転三転し、製作当初から深く関わり、脚本を温め続けてきたアーロン・ソーキン自らが監督し13年後に日の目を見ることとなる。
Awards:
- 第78回ゴールデン・グロープ賞:脚本賞・アーロン・ソーキン
『シカゴ7裁判』(2020年・アメリカ・イギリス・インド・2時間9分)
監督:アーロン・ソーキン
出演:サシャ・バロン・コーエン、エディ・レッドメイン、ジョセフ・ゴードン=レビット、マイケル・キートン、マーク・ライランス、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世、ウィリアム・ハート、ケルヴィン・ハリソン・Jr. 他
© Netflix/2020
2020年10月9日 全国公開‼
VOIDセレクト‼アーロン・ソーキンを知る3本‼
モリーズ・ゲーム(字幕版)
スティーブ・ジョブズ(字幕版)
ソーシャル・ネットワーク (字幕版)
【更新】2021年3月1日