ポーランドで現実に多発したニセ司祭事件を映画化!『聖なる犯罪者』
聖人か、それとも悪人か?
実話を元に描かれた衝撃的問題作!!
実際に司祭になりたかった主演俳優の卓越した表現力も話題!
少年院で収容中に出会った神父の影響で熱心なキリスト教徒となった20歳の青年ダニエル。
犯罪歴のある者は聖職者になれないと教えられたが、諦めきれず神父になることを夢見ていた。
仮釈放が決まり、ダニエルは少年院から遠く離れた田舎の製材所に就職することになった。
就職先へ向かう途中、たまたま立ち寄った教会で出会った少女マルタに尋ねられ、「司祭だ」と冗談を言ったところ、なんと新任の司祭と勘違いされ司祭の代わりを務めることになる。
村人たちは司祭らしからぬ言動のダニエルに最初は戸惑うが、若者たちとも交流する親しみやすい司祭として、徐々に彼は人々の信頼を得ていく。
そのような折、一年前にこの村で7人もの命を奪った凄惨な事故があり、その事故が村人たちに与えた深い傷を知ったダニエルは、悲しみにくれる遺族の心を癒したいと願う。
しかし、そんなダニエルの元に同じ少年院にいた男が現れたことにより、事態は思わぬ方向へと向かっていくのだった…。
Must Point:
本作の見所は、なんと言っても主演のバルトシュ・ビィエレニアの振り幅の大きい卓越した演技力!
一度見たら忘れられない強烈な眼差しは、聖とも邪ともとれ、見る者に不安を与え、物語に引きずりこむ力を持っている。
ヤン・コマサ監督はオーディションで約200人ほどの中からバルトシュ・ビィエレニアを主演に抜擢したが、その理由は彼だけが善でも悪でもなく、どちらとも取れる曖昧さ、いわば可能性を秘めていたからだという。
だが、逆に言えばオーディションの時点では完璧ではなかったため、ポーランドでは珍しいことだが役づくりのために長い時間をかけたという。
バルトシュ・ビィエレニアはカトリック信仰で育ち、幼い頃は司祭になりたいと思っていたという。
そして彼の叔母であるベルナデタ・ビィエレニアは女優兼監督で、これらが彼のキャリアや本作の役柄に影響を与えた部分もあるのではないでしょうか。
バルトシュ・ビィエレニアの素質、ヤン・コマサ監督の才能を見抜き育てる力、“神の視線”で描かれたストーリーによって、本作は観る者の心を揺さぶる作品となっている。
また、惜しくも受賞は逃したが第92回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされている。
本作とは関係ないがバルトシュ・ビィエレニアの表現力を表すものとして、よろしければこちらもご覧ください。
Awards:
- ポーランド映画賞:作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞 他
- シカゴ国際映画祭:主演男優賞
- ストックホルム国際映画祭:主演男優賞
『聖なる犯罪者』(2019年・ポーランド・フランス合作・1時間55分)
監督:
ヤン・コマサ
出演:
バルトシュ・ビィエレニア、アレクサンドラ・コニェチュナ、エリーザ・リチェムブル、トマシュ・ジェンテク
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