第34回東京国際映画祭、市山尚三、イザベル・ユペール、

映画文化の多様性の可能性を追求した第34回東京国際映画祭が閉幕!

本年度から開催地を六本木から日比谷・有楽町・銀座エリアへと移動し、より華やいだ印象の第34回東京国際映画祭が無事、閉幕した。今年は、プログラム・ディレクターに東京フィルメックスを20年間支え続けた市山尚三氏が就任したことが、最も大きな推進力の一つとなった。

コンペティション部門審査委員長を務めたイザベル・ユペール

近年よく耳にする”ダイバーシティ”は、映画の世界にも当てはまり、映画文化の多様性を感じさせる作品セレクトは、市山色を強く感じさせる映画祭となった。

また以前の特別招待枠にあたるガラ・セレクションのセレクト・センスはなかなか出色で、ディストリビューターに忖度せず、国内配給未定の作品を上映するなどコロナ禍で逆に自由に作品選択し易かったということを抜きにしても見ごたえのある国際映画祭らしさを醸し出していた。

また日比谷エリアを根城にしてきた東京フィルメックスと開催エリアを同じにすることで相互乗り入れを実現し、より映画のムードが漂う街として大いに賑わいを感じさせた。

授賞式後の部門ごとに審査員が集まったプレス・カンファレンスでは、審査委員長のイザベル・ユペールにとっては、アゼルバイジャンの映画やコソボの作品など普段、触れる機会のない映画を観て、かなりの刺激があった模様。

もしも現在がコロナ禍でなく、フィジカルに来日ゲストがあれば、招聘された監督や俳優、製作者らとの交流から次のプロジェクトが生まれるといったフュージョンが巻き起こるのは想像に難くない。

日比谷、銀座エリアという華やかな根城をベースに来年以降もよりバラエティ豊かで魅力的な映画と出会えることを期待したい。


第34回東京国際映画祭 受賞結果

東京グランプリ/東京都知事賞

『ヴェラは海の夢を見る』(コソボ/北マケドニア/アルバニア)

監督:カルトリナ・クラスニチ

審査委員特別賞

『市民』(ベルギー/ルーマニア/メキシコ)

監督:テオドラ・アナ・ミハイ

最優秀監督賞

『ある詩人』(カザフスタン)

最優秀監督賞:ダルジャン・オミルバエフ

最優秀女優賞

『もうひとりのトム』(メキシコ/アメリカ)

最優秀女優賞 :フリア・チャベス

最優秀男優賞

アミル・アガエイ、ファティヒ・アル 、バルシュ・ユルドゥズ、オヌル・ブルドゥ

『四つの壁』(トルコ)

『四つの壁』 より

最優秀芸術貢献賞

『クレーン・ランタン』(アゼルバイジャン)

監督:ヒラル・バイダロフ

観客賞 / 特別賞

『ちょっと思い出しただけ』(日本)

監督:松居大悟


アジアの未来 作品賞

『世界、北半球』監督:ホセイン・テヘラニ


Amazon Prime Videoテイクワン賞

ム・ユンス監督と瑚海みどり監督

キム・ユンス『日曜日、凪』
瑚海みどり『橋の下で』


第34回東京国際映画祭(2021)

第34回東京国際映画祭 2021年10月30日(土)~11月8日(月)【10日間】[会場]日比谷・有楽町・銀座地区にて


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