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Stonewalling、石門、ホワン・ジー、大塚竜治、ヤオ・ホングイ、第23回東京フィルメックス、ひとが子供を産み、育てるのはなぜなのか?人類普遍の問いへの答えを探る、予期せぬ妊娠に気づいた二十歳のリン。彼女はその事実にどう向き合っていくのか?アジアの超大国となった現代中国においても弱者の立場のままの女性の現状を描きながら、シンプルかつ人類永遠の営みへの答えを問う

ひとが子供を産み、育てるのはなぜなのか?人類普遍の問いへの答えを探る『石門』

予期せぬ妊娠に気づいた二十歳のリン。彼女はその事実にどう向き合っていくのか?アジアの超大国となった現代中国においても弱者の立場のままの女性の現状を描きながら、シンプルかつ人類永遠の営みへの答えを問う

© Yellow-Green Pi 

Story:

客室乗務員を目指すリン(ヤオ・ホングイ)は、アルバイトをしながら養成学校に通っている20歳の学生。

上昇志向の強いボーイフレンドからはあれやこれやと将来に向けてやるべきことを指示されるが、あまりうまく行かない日々を送っている。

そんな時、あることをきっかけに妊娠していることに気づいたが、今子供を持つことも中絶も望まなかった彼女は実家に戻り、診療所で死産の医療過誤訴訟に巻き込まれている両親を助けるため、自分の赤ん坊を提供しようとする。


Behind The Inside:

製作のきっかけは、監督夫妻の愛娘からの質問

『石門』Q&Aより、ホアン・ジー監督&大塚竜治監督ご夫妻


製作のきっかけは、ホアン監督と大塚監督の愛娘の千尋さんが5歳の頃に「ママとパパ、どうして私を産んだの?」と尋ねたことだそう。

だが、ホアン監督はその質問にどう答えればいいのかわからなかったため、少女から大人になろうとしている女の子が出産するか否かで悩む姿を撮ることで答えを導こうと考え、今回の映画制作が始まったと答えている。

『石門』Q&Aより、ロケーション折衝などプロダクション・マネージメントもこなした演出担当のホアン・ジー監督


本作は、出演者が全てノンプロのため、演者に合わせて日々脚本を修正するという独特のスタイルで撮影されている。

『石門』Q&Aより、主に撮影を担当した大塚竜治監督


そのように決まった脚本がない中でも、いくつかのシーン以外はほとんど同じ距離を保って粘り強いカメラワークで撮影されており、撮影を担当した大塚監督は、毎日撮影内容を変更しながら進めていく中で、一定の距離を保って撮影することだけをまず決めたと言っている。

撮影には妊娠と同じ10ヶ月間をかけており、主人公と一定の距離を保って撮影し、主人公だけを見るのではなくその周りの状況も捉えることで人物に対する先入観をできる限り排除し、客観的に演出することで、10ヶ月という期間の中で変化していく様を映し出している。


Stonewalling | Trailer | NYFF60

Huang Ji and Ryuji Otsukas’s Stonewalling is a Main Slate selection of the 60th New York Film Festival. Learn more here: https://www.filmlinc.org/nyff2022 For more than a decade, Beijing-based wife-and-husband team Huang Ji and Ryuji Otsuka have been making films about the lives of young people in China-in many cases “left-behind children,” or those whose parents are forced to leave their families to find jobs in cities.

『石門/Stonewalling(原題)』オリジナル予告編

Awards:

  • 第23回東京フィルメックス・コンペティション部門出品作品
  • 第79回ヴェネチア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門出品作品
  • トロント国際映画祭出品作品
  • ロンドン映画祭出品作品

『石門/Stonewalling』(2022年・中国・2時間28分)
監督:
ホアン・ジー&大塚竜治
出演:
ヤオ・ホングイ
© Yellow-Green Pi 

2022年 第23回東京フィルメックスにて 上映!!


『石門』 Stonewalling/東京フィルメックス・コンペティション – 第23回「東京フィルメックス」

2022.11.05 11月3日(木)、コンペティション部門の『石門』が有楽町朝日ホールで上映された。中国を拠点に夫妻で意欲的な映画製作を続けるホアン・ジー監督と大塚竜治監督の最新作。上映後に登壇した2人から声をかけられ、舞台袖に控えていた愛娘の千尋さんもあいさつに立ち、和やかな雰囲気のなか質疑応答が始まった。 …


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