第一次世界大戦、素朴な愛国心から英雄になるために仲間と共に戦地へと赴いた若きドイツ兵士パウル。
だが、壮絶な戦闘に巻き込まれる内に理想を打ち砕かれ、生き残ることに最善を尽くすことになる。
戦争の凄惨さ、理不尽さを描く反戦映画の不朽の名作、3度目の映画化にして、ドイツ発のネットフリックス映画の中で最も高額の製作費となった。
Story:
第一次世界大戦末期、17歳のパウル・ボイメル(フェリックス・カマラー)は、学友たちとドイツ帝国陸軍に入隊する。
素朴な愛国心から英雄になるという理想に燃えるパウルであったが、西部戦線の塹壕での凄惨を極める戦闘で友を失いパウルは、理想を打ち砕かれてゆく。
ドイツ陸軍最高司令部と連合軍との休戦協議の話が持ち上がる中、パウルの連隊はフランス戦との戦いのために最前線へと送られてゆく。
ドイツ軍は決死の白兵戦の末にフランス軍の前線を奪取するが、やがて飛行機、戦車、火炎放射器による陸空からの連合軍の猛烈な反撃に遭い、敗走することになる。
絶望的な状況の下、多くの友を失い、人間性を失ってゆくパウロ。
恐怖の中で生き残ることに最善を尽くすようになるパウルだったが、仮に生き残ったとしても何のために生きるのかという希望を次第に抱けなくなってゆくのだった。
Behind The Inside:
戦争の非人間性と理不尽さを壮大なスケールで描く
撮影場所に選ばれたのは、チェコ、プラハの北にあるサッカーの競技場10個分ほどの泥だらけの荒地で覆われた軍の施設である。
ドラマチックな戦闘シーンが生み出された塹壕は1キロメートルの長さで横幅が600メートルの広大な土地に作り込んだという。
本作で迫真の演技を披露した映画初主演の俳優フェリックス・カマラーは、10キロの重さのベストを身につけ、数ヶ月の間、毎日10キロを走り込んで兵士の体格を手に入れたそうだ。
Under The Film:
映画化3作目となる『西部戦線異状なし』だが、リメイクではない
ルイス・マイルストン監督によって世界的な名作となった『西部戦線異状なし』(1930年・アメリカ・2時間32分)は、アカデミー賞・作品賞と監督賞をダブル受賞した反戦映画の金字塔的映画である。
その後、1979年にデルバート・マン監督がテレビ映画として『西部戦線異状なし』(1979年・イギリス・アメリカ・2時間3分)を監督する。
パウルが父のように慕う兄貴分の兵士カチンスキー役は、小説では40歳という設定である。
本作ではアルブレヒト・シュッフが演じているが、1979年の映画化版では、何と!当時62歳であった名優アーネスト・ボーグナインが演じているのが興味深い。
3度目の映画化となった本作では、過去2作品のリメイクではなく、1928年に発刊された原作「西部戦線異状なし」からの再脚色をイアン・ストックェルとレスリー・パターソンが手がけ、原作にはない休戦交渉が同時並行で描かれてゆくのが本作の特徴となっている。
Awards:
- 第95回アカデミー賞・:国際長編映画賞・ドイツ選出
- ナショナル・ボード・オブ・レビュー:脚色賞・エドワード・ベルガー、レスリー・パターソン、イアン・ストッケル
『西部戦線異状なし/All Quiet on the Western Front(原題)』(2022年・ドイツ・アメリカ・イギリス・2時間28分)
監督:
エドワード・ベルガー
出演:
フェリックス・カマラー、アルブレヒト・シュッフ、ダニエル・ブリュール、アーロン・ヒルマー、モリッツ・クラウス、アドリアン・グリューネヴァルト、エディン・ハサノヴィッチ、ティボールト・ド・モンタランベール、デーヴィト・シュトリーゾフ、アンドレアス・ドゥーラー、セバスティアン・フールク、リュック・ファイト 他
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