70’sのアメリカン・インディーズの匂いがプンプンする土埃で色褪せたテキサスが舞台。
宝くじの賞金でアルコールとドラッグに溺れる自堕落なシングル・マザーを曲者女優アンドレア・ライズボローが熱演!
小規模のインディーズ作品ながら、多くの評論家からの支持を得てオスカー主演女優賞最有力候補の一人に躍り出た今期のオスカーレースのダーク・ホース的存在。
Story:
舞台はテキサス、宝くじで19万ドル(約2500万円)が当たったシングル・マザーのレスリー(アンドレア・ライズボロー)は、全ての賞金を酒とドラッグに湯水のように使ってしまう。
6年後、周囲の友人たちにも逃げられ、モーテルと路上生活を行ったり来たりするほど落ちぶれたレスリーはすっかり金を使い果たし、ついにウィークリー・モーテルからも追い出され、路上生活者に成り果てる。
もう誰も頼れる者のいないレスリーは疎遠になっていた20歳の息子ジェームズ(オーウェン・ティーグ)を訪ねる。
ジェームズは母レスリーが酒を断つという約束の元、一緒に暮らすことを了承するのだが・・・。
波乱しかないレスリーの人生に転機が巡ってくることなどあるのだろうか?
Behind The Inside:
低予算映画でオスカー・ノミネートというコスパのよさ
本作は人気テレビドラマ『ベター・コール・ソウル』(2015年-2022年)、『BLOODLINE ブラッドライン』(2015年-2017年)のプロデューサーを務めてきたテレビ・ディレクター、マイケル・モリスの映画監督デビュー作である。
主演の母レスリー役のアンドレア・ライズボロー、息子ジェームズを演じたオーウェン・ティーグは、モリスが製作したNetflixドラマ『BLOODLINE ブラッドライン』で既に親子の役を演じている。その実経験からのキャストと考えてよい。
ストーリーは実話を元にしており、総製作費100万ドル(約1億3千万円)の低予算のインディーズ作品のため、テキサスでは撮影をせずにコロナ禍のロサンゼルスでたった19日間で撮影されたという。
初監督作の低予算映画でオスカー・ノミネートを果たしたコスパのよさは快挙と言える。
Under The Film:
地味にキャストが素晴らしい
主演のアンドレア・ライズボローは、クセのある役が多いイギリス出身の演技派女優。
アカデミー賞主演女優賞・ノミネートに値するアル中の人間の実像を感じさせる真に迫るその演技は評論家たちから大絶賛されており、そのパワフルな台詞回しと相まって”アル中演技のマスター・ピース”とまで言われている。
また脇を固める俳優陣も『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年)で主演のマーゴット・ロビーを喰う演技でアカデミー賞助演女優賞を見事、受賞しているアリソン・ジャネイやダークな説法で人気のコメディアンのマーク・マロンといったこれまたクセのある役者で重要な役所を押さえている。
Awards:
- 第95回アカデミー賞・ノミネート:主演女優賞・アンドレア・ライズボロー
- ナショナル・ボード・オブ・レビュー:今年10本のインディーズ系映画選出
『To Leslie トゥ・レスリー/To Leslie(原題)』(2022年・アメリカ・1時間59分)
監督:
マイケル・モリス
出演:
アンドレア・ライズボロー、アリソン・ジャネイ、スティーヴン・ルート、ジェームズ・ランドリー・ヘーベルト、オーウェン・ティーグ、マット・ローリア、マーク・マロン 他
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