
「ショーグン」の同志が再び拳を交える——真田広之と浅野忠信が共に魔界を砕く、究極の格闘大会がついに開幕。真田広之のスコーピオンが炎の「ネザーレルム」で吠え、浅野忠信のライデンが人間界の命運を背負う、——最終決戦の火蓋が切られた『モータルコンバット/ネクストラウンド』
世界的人気格闘ゲームを原作とする実写映画シリーズの第2作にして、ついに本戦トーナメントが開幕。
前作『モータルコンバット』(2021年)ではコロナ禍にもかかわらず世界興行収入8,400万ドルを突破。
全米公開初週末興行収入は3,850万ドルを記録し、世界累計6,510万ドル(5月11日時点)。
ロッテン・トマト批評家スコア64%に対し、観客スコアは90%というゲーム映画史上最高の数値を叩き出している。
そして何より——エミー賞18冠を果たしたメガヒット・ドラマ『ショーグン』の真田広之と浅野忠信が、今度は同じ戦場で拳を握る。

Story:
人間界(アースレルム)は、魔界(アウトワールド)との究極の格闘大会「モータルコンバット」ですでに9連敗を喫している。あと1敗で世界は魔界の皇帝シャオ・カーン(マーティン・フォード)の支配下に落ちる——。
雷神ライデン(浅野忠信)は、ソーニャ・ブレイド(ジェシカ・マクナミー)、ジャックス(メーキャド・ブルックス)、コール・ヤング(ルイス・タン)、リュウ・カン(ルーディー・リン)からなる地球界の戦士チームを率い、シャオ・カーンが神にも等しい力を手にするための「シンノックのアミュレット」を奪取しようとするシャン・ツン(チン・ハン)の野望を阻止しようとしていた。
最後の切り札として白羽の矢が立ったのは、かつての人気アクション映画スターにして今は落ち目のハリウッド俳優、ジョニー・ケイジ(カール・アーバン)。コンベンション会場の駐車場でファンにすら見向きもされなくなったその男が、前情報なしに「ネザーレルム」行きを命じられる。
一方、エデニア王国の皇女キタナ(アデリン・ルドルフ)は親友にして護衛のジェイド(タティ・ガブリエル)とともに、シャオ・カーンの支配に秘かに抵抗し、ライデン陣営を援護しようと動き出す。
そしてネザーレルム——煉獄の世界で、ハンゾー・ハサシ、すなわちスコーピオン(真田広之)は、偽りの記憶に包まれた「かつての自分の家」で永遠のような時間を過ごしていた。死してなお闘争を拒むその男を動かしたのは、旧来の宿敵ビハン(ジョー・タスリム)がネザーレルムに現れたという報だった。
Behind The Inside:
「APACキャスティング」——真田広之が誇りを込めて語った現場の空気
真田広之は米・エンターテインメント業界誌Varietyのインタビューでモータルコンバット2の撮影について「本当に楽しかった。キャスト全体が「アジア太平洋地域出身の俳優・才能」が集まったAPACキャスティングで、アジア系の俳優がたくさんいる」と語り、「アジア系の俳優全員がこの映画でうまくやっているのが嬉しい。アジアからの世界へのまたとないアピールだ」と述べている。
その言葉が示すのは単なる満足感ではない。真田がここで名前を挙げた「ショーグン」の共演者——浅野忠信もまた、本作でライデンを演じている。
ショーグンのプレス取材では「日本国内でも複雑怪奇な人物像を演じることで知られる浅野が、ショーグンではキャッシギ・ヤブシゲ卿という死への執着を持つ、狡猾でいて魅力的な役柄を演じた」と評されている。
ショーグンでは宿敵とも言えるトラナガとヤブシゲを演じた二人が、今度は同じ地球界の側に立って魔界の皇帝と戦う。
スコーピオンとショーグン——真田広之という「橋」
真田広之はスコーピオン/ハンゾー・ハサシを「俳優にとって非常に美味しい役」と語っており、このビデオゲームキャラクターの深い人物像を肉付けすることへの手応えを示している。
真田は「ショーグン」の成功の意義についてこう述べている。「ショーグンは東西の扉をずっと広く開けてくれた。東西の架け橋を作れると思う。次世代のクリエイターや俳優たちが、東西を行き来することがずっと容易になることが私の希望だった。ショーグン効果がそれを実現してくれるかもしれない」。
ここで重要な時系列の整理をしておく。真田広之と浅野忠信がモータルコンバット第1作目に出演したのは2021年のこと。『ショーグン』シーズン1が放映され世界的センセーションを起こしたのは2024年。そして本作の撮影は2023年6月にオーストラリアで開始されている。すなわち「ショーグン効果でモータルコンバット2に起用された」という因果関係はない——二人のキャスティング自体は前作からの継続であり、ショーグン以前の話なのだ。
しかし「ショーグン」の圧倒的な成功が本作のマーケティングに与えた追い風は疑いようがない。エミー賞18冠という日本のカルチャーシーンにとっても文化的事件であったドラマの中心にいた主役二人が、一つの映画に揃いぶみしているのだ。
SAG-AFTRAストライキによる中断と再始動
本作の撮影は2023年6月にオーストラリア・クイーンズランド州ゴールドコーストのヴィレッジ・ロードショー・スタジオで開始されたが、7月中旬にSAG-AFTRAストライキによって一時中断を余儀なくされた。11月中旬に撮影を再開し、2024年1月末に完成している。
前作から5年近くの歳月がかかった計算になるが、撮影中断という逆境が、奇しくも本作への「期待を熟成する期間」となった。
「ジョニー・ケイジ」投入という賭け
前作のリリース後、マクコイド監督はジョニー・ケイジを第1作に登場させなかった理由として「彼は巨大なパーソナリティの持ち主で、映画のバランスを崩すことになっていただろう」と語っていた。
その「封印していた秘密兵器」を本作で解放する役を任されたのがカール・アーバン。落ち目のハリウッドスターという役どころで、「信じられないほどハンサム」であるという特殊能力(アルカナ)を発揮するという設定は、ゲームのジョニー・ケイジのキャラクター性を巧みに実写に翻案しているという。
脚本のジェレミー・スレイターは本作を「モータルコンバット・シリーズの『奇妙さ』を正面から受け入れ、ファンの期待を裏切る予測不可能な映画にしたい」と語っており、正規メンバーへの対応と批判への対応を両立させることを目指したという。
ゲームシリーズ共同創設者がバーテンダーとして降臨
「モータルコンバット」シリーズの共同創設者エド・ブーンが本作にバーテンダー役「エド」として本人カメオ出演している。これは1990年代からのシリーズファンへの粋なリップ・サービスである。
全米公開前から第3作の開発が決定
2025年10月のニューヨーク・コミコンで第3作の開発が発表され、ジェレミー・スレイターが脚本家として続投することが明らかになった。また、同作の第1弾レッドバンド予告編は7月公開後24時間以内に全世界1億700万回再生を記録し、R指定など過激な内容も含んでいるという意味のレッドバンド予告としての歴代最高記録を更新している。
Under The Film:
批評家64%対観客90%——この逆転現象が語るもの
ロッテン・トマトの批評家スコア64%に対し、観客スコアは90%。この数値の組み合わせは、ゲーム映画のアダプテーションとして史上最高の両スコアを同時に記録したものだという。
この乖離は単純に「批評家は嫌いで観客は好き」という図式では読めない。64%という批評家スコアは決して低くはないが、90%という観客の熱量との差は埋めがたい。ゲームの世界観やキャラクターに対する深い愛着と知識を持つファンが、批評家的な作劇の粗さの指摘を上回る「祭りへの参加体験」として本作を消費しているからだろう。
「ショーグン」が東西の扉を開けた先に——APAC映画の現在地
真田広之はインタビューで「ショーグンが東西の扉を開けた」と表現したが、より正確に言えば、ショーグンが「扉を開けた」のではなく「扉が開いていたことを世界に証明した」のかもしれない。アジア系俳優が大作ハリウッド映画の中心に立つことは、もっとはるか昔から始まっていた。
真田広之のスコーピオン/ハンゾー・ハサシは第1作の感情的な柱の一つとして機能しており、浅野忠信のライデンを加えることでフランチャイズとしての「文化的共鳴」が深まっている——という評価がある。
ただし現実の数字に照らし合わせてみると本作の世界興行収入は5月11日時点で6,510万ドル(製作費8,000万ドル)。数字だけを見れば現時点では損益分岐点にすら達していない。全米初週末興行収入3,850万ドルは「プラダを着た悪魔2」に首位を阻まれての2位という結果だった。
ゲーム映画というジャンルの特殊性——「正典への忠実さ」という呪縛
脚本のスレイターは、コール・ヤングを殺すという判断について「カジュアルなファンには衝撃的だろうが、コアなファンにとってはリュウ・カンが正典通りにシャオ・カーンを倒すことの方が衝撃的——それはこの映画が予測不可能だということを伝えるシグナルだ」と語っている。
ゲームの「正典(カノン)」を知っている観客と知らない観客が同時に座る映画館で、脚本家はどちらにも驚きを与えなければならない。この困難な二重構造こそが、ゲーム映画というジャンルを批評家が評価しにくい最大の理由かもしれない。
『モータルコンバット/ネクストラウンド / Mortal Kombat II』(2026年・アメリカ・1時間56分)
監督:サイモン・マッコイド 脚本:ジェレミー・スレイター 音楽:ベンジャミン・ウォールフィッシュ 撮影:スティーブン・F・ウィンドン
出演:カール・アーバン、真田広之、浅野忠信、アデリン・ルドルフ、タティ・ガブリエル、ジェシカ・マクナミー、
ジョシュ・ロー ソン、ルーディー・リン、メーキャド・ブルックス、ルイス・タン、デーモン・ヘリマン、チン・ハン、
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