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崩壊しかけたスラッシャー・フランチャイズの再興を任されたクィア映画監督が、伝説の「ファイナル・ガール」女優が住む廃キャンプ場に足を踏み入れた瞬間、血と欲望と妄想の奈落が口を開けた——カンヌ「ある視点」部門・オープニング作にして2026年クィアパルム受賞。ジェーン・ショーンブルン最新作 『ティーンエイジ・セックス・アンド・デス・アット・キャンプ・ミアズマ』

製作はブラッド・ピット率いるプランBエンターテインメントとMUBI。ハンナ・エインビンデルとジリアン・アンダーソンがダブル主演——80年代スラッシャー・ムービーへの愛に塗れたメタ・クィアホラーの到来。

『ウィ・アー・オール・ゴーイング・トゥ・ザ・ワールズ・フェア』(2021)、A24配給の『テレビの中に入りたい』(2024)に続くショーンブルン三作目。トランス・アイデンティティとホラーの交差点を、メタ・フィクションの極致として問い直す野心作。

カンヌ試写では上映終了後に6分間のスタンディングオベーション。クィアパルム審査員は「映画史上最もグリッターで輝く血と、バンガーに満ちたサウンドトラック」と称えた。

MPA(映国映画協会)レーティングはR指定——血みどろの暴力、ゴア、性的描写、グラフィックヌード、薬物使用。「ビデオ屋のホラー棚からひっそり手招きしてくる、とびきりイカれた真夜中の映画」(ショーンブルン談)。


©2026 Plan B Entertainment / MUBI. All Rights Reserved.

Story:

長年にわたる粗製乱造の続編と、萎縮し続けるファンダム——かつて80年代に一世を風靡したスラッシャー・フランチャイズ「キャンプ・ミアズマ」は、今や見る影もない。そのシリーズに再び命を吹き込む役目を押しつけられたのが、若く意欲あふれるクィアの映画監督クリス(ハンナ・エインビンデル)だ。

新作の製作準備を進める中、クリスは一つの考えに取り憑かれていく——初代「キャンプ・ミアズマ」で「ファイナル・ガール」を演じた謎めいた女優、ビリー(ジリアン・アンダーソン)をキャスティングすることへの執着だ。引退後、人里離れた廃墟同然の撮影地に一人籠もるビリーを訪ねたクリスは、大麻を燻らせてゴシックな隠遁生活を送る元スクリーム・クイーンと対面を果たす。

舞台となるのは、オリジナル映画が撮影されたかつてのキャンプ場。ショーンブルンはそこを、リンチ的な虚構の閾(しきい)——書き割りのバックドロップと音響ステージの人工空間が入り混じる、現実と夢の狭間のネバーランドとして描き出す。ビリーはクリスを試すように翻弄しながら、ゲームの輪郭を変えていく。やがて二人の女性は、血と欲望と妄想が渦巻く世界へと引きずり込まれていく。

ショーンブルン本人がこう語るように、本作は彼らが子供の頃にビデオ屋のホラー棚から手招きされた、あの種の映画だ——「狂っているのに居心地よく、真夜中の小旅行のように誘い込んでくる、スリープオーバー・クラシック」。ただしその誘いの先には、ホラー映画史におけるトランスジェンダー表象への深い批評的視線と、移行後の性をいかに楽しむかというきわめて個人的な問いが待ち構えている。


Behind The Inside:

「血の大噴水から始めたかった」——ショーンブルンの三作目は、ジャンルの内側から書き換える

本作は、ジェーン・ショーンブルン(1987年2月5日生、ニューヨーク出身)の長編三作目にあたる。they/them代名詞を使用するトランス・ノンバイナリーの映画作家であるショーンブルンは、長編一作目『ウィ・アー・オール・ゴーイング・トゥ・ザ・ワールズ・フェア』(2021年、サンダンス映画祭でワールドプレミア)でインターネット・クリーピーパスタ(ネット拡散型都市伝説)とクィアな疎外感を絡めた異色デビューを飾った。二作目『テレビの中に入りたい』(2024年、A24配給)では90年代TVカルチャーへのオブセッションを通じてジェンダー・ディスフォリア(性別違和)を描き、ポール・シュレイダーをして「過去10年で最も独創的な映画の声」と言わしめた。

今回の企画はもともと2024年6月、ショーンブルンが雑誌『ニューヨーカー』のプロフィール記事の中で言及したことで知られるようになった。「移行後に性を楽しぶことを学ぶことについての映画」と彼らは説明し、『サイコ』のノーマン・ベイツや『羊たちの沈黙』のバッファロー・ビルら、ホラー映画史がトランスネスを「怪物性」として刻み込んできた歴史への批評的な眼差しを明かした——敬意と批判を同時に捧げながら、そのジャンルのDNAを内側から書き換えようと試みている。

「映画の冒頭シーンには、必ず巨大な血の大噴水が必要だった」とショーンブルンは語っている。その言葉通り、本作はR指定を宣告された——血みどろの暴力、ゴア、性的描写、グラフィックヌード、薬物使用。80年代スラッシャーへのオマージュがふんだんに使われている。

2025年11月のアメリカン・フィルム・マーケット(AFM)でワールドセールスを担うマッチ・ファクトリーが本格的に販売活動を開始し、国際的な注目が一気に集まった。

プランBとMUBIが血と体液の洪水を呼び込んだ

製作は、ブラッド・ピット、ディード・ガードナー、ジェレミー・クライナーのプランBエンターテインメント。アート系シネマを軸にしたストリーミングプラットフォームMUBIが全額出資し、北米・中南米・英国・アイルランド・ドイツ・オーストリア・ベネルクス・スペイン・イタリア・トルコ・インド・オーストラリア・ニュージーランドでの配給を担う。残る地域のワールドセールスはマッチ・ファクトリーが手がける。エグゼクティブ・プロデューサーにはMUBIのエフェ・チャカレルとブラッド・ピット本人も名を連ねる。

ショーンブルンは発表時にこう述べた——「プランBとMUBIという勇敢な人たちがこの映画を承認することで、あらゆる体液の洪水を呼び込んでしまった。ハンナ・エインビンデルとジリアン・アンダーソンという最高の仲間たちと一緒にキャンプへ向かえることを、これ以上なく楽しみにしている」。

撮影監督はエリック・K・ユー。編集はグレアム・メイソン。音楽は前二作に引き続きアレックス・G(Alex G)が担当しており、本作でもバンガー揃いのサウンドトラックを提供している。

ハンナ・エインビンデルとジリアン・アンダーソン——新旧「ファイナル・ガール」のダブル主演

主演のハンナ・エインビンデルは、HBOのコメディドラマ『ハックス』でブレイクしたコメディアン・女優。本作では「新世代のファイナル・ガール」として、才能あるクィアの若手監督クリスを演じる。「ファイナル・ガール」とは、ホラー映画に登場する純粋な若い女性が周囲の登場人物たちが次々と消えてゆく中、殺戮者と対決し最後にたった一人生き残るキャラクターのことを指す。

相対するのはジリアン・アンダーソン——言わずと知れた『X-ファイル』のスカリー捜査官役で世界的な知名度を誇る。本作では大麻を燻らせながら廃キャンプに引き籠もる元スクリーム・クイーン、ビリーを演じる。「ジリアン・アンダーソンは複数の世代にとって本物のアイコンとして燦然と輝いている」とクィアパルムの審査員に称えられた。

ショーンブルンがかつて『X-ファイル』の二次創作/ファンフィクションを書いていた少年期を過ごしたという事実は、本作のアンダーソン起用に必然性を与えている。


TEENAGE SEX AND DEATH AT CAMP MIASMA | Official Teaser | In Theaters August 7

Jane Schoenbrun’s TEENAGE SEX AND DEATH AT CAMP MIASMA. A new kind of horror remake, starring Hannah Einbinder and Gillian Anderson. In theaters starting August 7 in the US, Canada, UK, Latin America, Germany, Italy, Netherlands, Ireland, Spain, Australia and more. A MUBI Release.


Under The Film:

異性愛規範から解放された、陽気で喜びに満ちた映画

カンヌの「ある視点」部門のオープニングを飾った本作は、上映終了後6分間のスタンディングオベーションで賞賛された。もっとも、Varietyのレポートが伝えるように、「映画の波長に乗れた観客は声を上げて喜んでいた」一方で、スクリーンが暗転した瞬間、席を立った観客も相当数いたという——それもまた、ショーンブルン映画の常道だ。

5月22日に発表されたクィアパルム審査員の声明は、本作への賞賛として歴史に残る一文を刻んだ。「異性愛規範と異性愛中心主義の鋳型から解放された、大衆的で、喜びに満ち、徹底的にリサーチされた映画。二人の女性が自らのセクシュアリティと和解していく旅。凍った湖の底の穴へと降り、春の光の中へと浮上してくる。このジャンルのDNAへと立ち返り、今日の私たちを照らし出す」——そして、「映画史上最もグリッターで輝く血と、バンガーに満ちたサウンドトラック」という言葉とともに、クィアパルム2026は『ティーンエイジ・セックス・アンド・デス・アット・キャンプ・ミアズマ』へと贈られた。

今年は史上最多となる22本がクィアパルムを争ったカンヌで、本作はその最高峰に輝いた。同時に史上初めて「クィアパルム・レベレーション賞」が新設され、フィリップ・ル・ガル監督の『フレッシュ・アンド・フューエル』が受賞している——それほどまでにクィア映画が群雄割拠した、記録ずくめのカンヌだった。

批評家の反応はLetterboxdやSNSを中心に熱狂的で、「変容的で、ぐちゃぐちゃで、濡れていて、笑えて、考えさせて、美しくて、力強くて、脆くて、最高にカッコいい」「数年で見た中で最も解放されたホラー」という声が上がっている。フィルム・ヴァーディクトは「低俗映画への高尚なラブレターに、きわめて個人的なスピンを与えた」と評し、ショーンブルンが前作で見せた資質をより大きな予算と広いキャンバスで花開かせた作品と位置づける。

日本公開の行方

現時点で日本公開の情報は発表されていない。本作のような気鋭のクィア映画を積極的に扱ってきた国内の配給会社が食指を動かす可能性はゼロではない。日本の映画ファンにとって、ショーンブルンの名前と、ジリアン・アンダーソンというスター性の組み合わせは確かな訴求力を持つはずだ。続報を待ちたい。


『ティーンエイジ・セックス・アンド・デス・アット・キャンプ・ミアズマ / Teenage Sex and Death at Camp Miasma』(2026年・アメリカ・1時間52分)
監督・脚本:ジェーン・ショーンブルン
撮影:エリック・K・ユー
編集:グレアム・メイソン
音楽:アレックス・G
出演:ハンナ・エインビンデル、ジリアン・アンダーソン、アマンダ・フィックス、アーサー・コンティ、エヴァ・ヴィクター、ザック・チェリー、サラ・シャーマン、パトリック・フィッシュラー、ディラン・ベイカー、ジャスミン・サヴォイ・ブラウン、クインテッサ・スウィンデル、ケビン・マクドナルド、ジャック・ヘイヴン
製作:Plan B Entertainment 、Scythia Films、MUBI
配給(米):MUBI ©2026 Plan B Entertainment / MUBI. All Rights Reserved.


Reels:

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