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衣装工房に宿るイタリア映画の魂——衣装工房ウンベルト・ティレッリの記憶から生まれた、フェルザン・オズペテク監督最新作『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』

ヴィスコンティ、フェリーニ、パゾリーニ、イタリア映画界の黄金期のみならず、ハリウッドの名作を陰で支えた知られざる衣装工房の世界

助監督時代にローマの衣装アトリエで過ごした愛おしい日々を忘れることができなかったトルコ出身のフェルザン・オズペテク

時は流れ、30年後に懐かしい思い出を映画化、オズペテクのユーモラスで温かい眼差しはイタリア国民に大絶賛で迎えられ2024年イタリア国内ナンバーワン大ヒットを樹立!


©︎  2024 Greenboo Production – Faros Film – Vision Distribution

Story:

1970年代のローマ。映画・舞台用衣装工房「ソレッレ・カノーヴァ」を経営する姉アルベルタ(ルイーザ・ラニエーリ)と妹ガブリエッラ(ジャスミン・トリンカ)のもとに、オスカー受賞衣装デザイナーから難度の高い特注依頼が舞い込む。期限に追われながら、工房に集うさまざまな女性たちのドラマが交差していく。監督フェルザン・オズペテク自身もカメオ出演し、スクリーン内外の境界が軽やかに融けていく。


Behind The Inside:

助監督時代のアトリエ通いが原点——衣装工房ティレッリ・コステゥミの記憶が映画になるまで

本作の出発点は、監督フェルザン・オズペテク(1959年イスタンブール生まれ)の実体験にある。1976年にイタリアへ渡り、ローマ・ラ・サピエンツァ大学で映画史を学んだ後、シルヴィオ・ダミーコ演劇アカデミーで演出を修めたオズペテクは、その後マッシモ・トロイージ、マウリツィオ・ポンツィ、リッキー・トニャッツィ、ランベルト・バーヴァ、フランチェスコ・ヌーティ、セルジオ・チッティら複数の監督のもとで助監督として約15年を過ごした。

その助監督時代、彼が繰り返し足を踏み入れたのが、ローマの映画・舞台用衣装アトリエ、ウンベルト・ティレッリだった。ローマを代表する衣装デザイナーであり、衣装コレクターのウンベルト・ティレッリが設立した衣装工房ティレッリ・コステゥミのことである。ルキノ・ヴィスコンティやフェデリコ・フェリーニといったイタリアを代表する名匠の映画作品をはじめ、世界中の舞台・映画の衣装を制作していた。

「助監督をしていた若い頃、俳優や監督を衣装工房へ連れていくことがよくあった。そのひとつがティレッリで、そこで『エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事』(1993年)でアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞したガブリエッラ・ペスクッチ、フェデリコ・フェリーニやジュゼッペ・トルナトーレ監督の作品などの衣装を手がけたマウリツィオ・ミッレノッティ、『夏の嵐』(1954年)『ベニスに死す』(1971年)、『愛の嵐』(1974年)の衣装担当であり、数々の映画賞を受賞してきた衣装デザイナー、ピエロ・トージと出会った。ピエロは特に私の相談役で、脚本を読んでくれて、一緒に話し合った」とオズペテクは語っている。

アトリエには特別な空気が漂っていた——細部へのこだわり、ものへの美意識。世界最高峰の衣装デザイナーたちが行き交い、パリ、ロンドン、インドにまで時代考証用の生地を探しに助手を派遣するような夢のような場所だった。監督は、そこで育まれた感覚——光と色への鋭敏さ、細部への執着——が後の自身の映画づくりに深い影響を与えていると認めている。


サルトリア・ティレッリとは何か——イタリア映画史のもうひとつの顔

映画の舞台となる衣装工房のモデルは、1964年にウンベルト・ティレッリが創設したローマの「サルトリア・ティレッリ」(現ティレッリ・コストゥーミ)だ。ミシン2台、仕立て職人5人からスタートしたこのアトリエは、以来60年にわたって成長を続け、22のオスカーノミネートと15の受賞に関わった。現在、工房のアーカイブには15,000点以上のオリジナル衣装と、映画・オペラのために仕立てた衣装が約17万点保管されている。

前出のピエロ・トージ、ガブリエッラ・ペスクッチ、『バリー・リンドン』(1975年、『炎のランナー』(1981年)、『マリー・アントワネット』(2006年)、『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014年)の衣装デザインで4度のオスカー受賞、80歳にして未だ現役のミレーナ・カノネロ、『ロミオとジュリエット』(1968)、『フェリーニのカサノヴァ』(1976)の衣装デザインで2度のオスカーに輝くダニーロ・ドナーティ——イタリア映画史上最高峰の衣装デザイナーたちの仕事を、このアトリエが支え続けた。ヴィスコンティの『山猫』でクラウディア・カルディナーレが身に纏った黒のスーツ、パゾリーニの『メディア』でマリア・カラスを包んだ衣装、フェリーニの『甘い生活』……イタリア映画の核心的な場面を彩った衣装の数々は、このアトリエで全て生まれた。

本作の制作にあたって、ティレッリ・・コストゥーミはアーカイブを解放して撮影に協力した。劇中に登場する衣装のために、オズペテクは高額の保険をかけた上で、ヴィスコンティ作品のオリジナル衣装——『山猫』のクラウディア・カルディナーレ、『ベニスに死す』のシルヴァーナ・マンガーノ、『ルートヴィヒ』のロミー・シュナイダーが実際に着用したもの——を借り受けた。


なぜ「衣装部」なのか——イタリア映画の「見えない側」を描くということ

衣装工房という舞台の選択には、感傷的な懐古趣味を超えた意味がある。スクリーンに映らないまま映画の質感を決定する職人たちの存在を可視化すること——それは、イタリア映画が1950〜70年代の黄金期に世界と渡り合えた理由のひとつが、こうした高度な職人文化の層の厚みにあったことへの認識でもある。

オズペテクはトルコ出身という外部の視線を持つ映画人だ。「文化的にも、名前の面でも、セクシュアリティの面でも、多くの意味でパイオニアだった」と自らを語る彼が、イタリア映画界の衣装工房という「裏側の世界」にスポットライトを当てたことは、そのアウトサイダー的感性と無縁ではないだろう。


『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』本予告|6月19日(金)公開

220万人を動員し、2024年イタリア映画最大のヒットを記録! 『あしたのパスタはアルデンテ』フェルザン・オズペテク監督 最新作 6月19日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー 公式サイト:http://child-film.com/films/diamanti 人生のほころびを繕って、幾度もやり直す 永遠に輝き続ける女性たちの物語 【STORY】 1970年代のローマ。豪華で美しい衣装制作の裏側にはそれぞれに事情を抱えるお針子たちの人生の物語があった。困難を乗り越え、幸せを掴んでいく女性たちをユーモラスに愛情深く描いた、2024年イタリア映画最大のヒット作。衣装制作という共同作業から生まれるかけがえのない歓びが、女性たちを輝かせていく。 【STAFF / CAST】 監督:フェルザン・オズペテク 出演:ルイーザ・ラニエリ、ジャスミン・トリンカ、ステファノ・アコルシ 衣装:ステファノ・チャミッティ(ミラノ・コルティナ冬季五輪 閉会式衣装担当) 音楽:ミーナ、ジョルジャ 【Official SNS】 最新情報はこちらから! X:https://x.com/childfilm2 Instagram:https://www.instagram.com/childfilm3 ※特報はこちら:https://youtu.be/edE7xP6qT3Y 【作品情報】 2024年|イタリア|原題:Diamanti|135分|シネスコ 日本語字幕:杉本あり 後援:イタリア大使館 特別協力:イタリア文化会館 提供・配給:チャイルド・フィルム/オンリー・ハーツ #ダイヤモンド私たちの衣装工房 #イタリア映画 #フェルザンオズペテク #シスターフッド


Under The Film:

衣装デザイナー、ステファノ・チャミッティ——衣装についての映画の衣装を作るというメタ構造

本作の衣装デザインを担当したのはステファノ・チャミッティ。ジャン・レノ主演の映画『Promises』(2021年)、Netflixシリーズ『リディア・ポエトの法則』(2023年)、マッテオ・ガッローネ監督の『僕はキャプテン』(2023年)など、近年のイタリア映画・ドラマを代表する作品で実績を積んできた現役の実力派だ。

「衣装工房を舞台にした映画の衣装を、現役コスチューム・デザイナーが担当する」というこの構造自体がひとつのメタ的な趣向でもある。オズペテクはチャミッティに対し、劇中の重要なドレスの色(鮮やかな赤)の参照としてバレンシアガの赤いドレスを提示したという——過去の伝説と現在の実践が、静かに交差しているのも見どころの一つである。


2024年イタリア最大のヒット作——その数字が語ること

イタリアでの公開(2024年12月19日)以来、本作は累計1,000万ユーロを超える興収を記録し、2024年公開のイタリア映画としてトップとなった。最終的には16.4百万ユーロに達し、オズペテク自身のキャリア最高興収を更新した。第70回ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では観客賞を受賞——観客動員数222万人以上という数字に裏付けられた受賞であった。

前作『ニュー・オリンポスで』(2023年)がNetflix独占配信であったのに対し、本作は400館以上での劇場公開だった。「女性たちのドラマ」が現代のイタリアの観客を劇場へ引き戻した、という事実はそれ自体ひとつのニュースである。


捧げられた三人の名前——モニカ・ヴィッティ、ヴィルナ・リージ、マリアンジェラ・メラート

本作はモニカ・ヴィッティ、ヴィルナ・リージ、マリアンジェラ・メラートという、すでに世を去ったイタリア映画界の三人の女優に捧げられている。冒頭では、オズペテクがこれまでともに仕事をしてきた現役女優たちが登場し、監督自身がカメオ出演もしており、オズペテクにとって、本作は彼が触れてきた愛おしい映画人生を回想するかのような仕立てともいえる。

オズペテクにとって、「衣装は映画と同じくらいクラシックな不朽の名作」——そのことをユーモアと温もりをもって語りかけてくる。


『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』(2024年・イタリア・2時間16分)
監督:フェルザン・オズペテク
脚本:フェルザン・オズペテク、カルロッタ・コッラーディ、エリザ・カッセーリ
撮影:ジャンフィリッポ・コルティチェッリ
衣装デザイン:ステファノ・チャミッティ
美術:デニズ・ギョクテュルク・コバンバイ
音楽:ジュリアーノ・タヴィアーニ、カルメロ・トラヴィア
出演:ルイーザ・ラニエーリ、ジャスミン・トリンカ、ステファノ・アコルシ、ルカ・バルバロッサ、エレナ・ソフィア・リッチ、
ルネッタ・サヴィーノ、ヴァネッサ・スカレーラ、マーラ・ヴェニエール、ジェッピ・クッチャーリ ほか
配給:チャイルド・フィルム
日本公開:2025年6月19日 ©︎ 2024 Greenboo Production – Faros Film – Vision Distribution

ダイヤモンド 私たちの衣装工房 | 株式会社チャイルド・フィルム Child Film

6月19日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺ほかにてロードショー Widgets by ムビチケ 2025年ダヴィド・ディ・ドナテッロ賞観客賞受賞人生をあきらめない主人公たちに共感! 登場人物たちに自分


Reels:

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甘い生活

作家になるためローマに出てきたマルチェロは、ゴシップ記者という職業に甘んじて、毎夜は有名人のネタをあさる。自らも富豪の娘と一夜を共にしたり、ハリウッド女優と戯れたり、乱痴気騒ぎに明け暮れる。そんなある日、マルチェロは愛人を連れて友人スタイナーを訪ねるのだが、スタイナーは自殺をしてしまう。© Rizzoli 1960[シネフィル]


夏の嵐 1954(字幕版)

1866年オーストリア占領下のベネチア。オーストリア軍の将校に出会い心を奪われたベネチアの伯爵夫人が愛に溺れていく。


アマデウス(字幕版)

モーツァルトの謎に満ちた生涯を綴った名作。嫉妬と復習の罠が、天才へのレクイエム。 Rating NR (C) 1984 The Saul Zaentz Company. All rights reserved.


Reload:

オンラインで29本一挙上映『イタリア映画祭2020 / Festival del Cinema Italiano 2020』

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