現代のチャップリン、名匠エリア・スレイマン監督10年ぶりの長編最新作にして最高傑作!!『天国にちがいない』
ナザレ、パリ、ニューヨーク。監督の旅路を通して世界のパレスチナ化と混迷、人間の愛おしさを軽やかに描く
イエス・キリストの故郷ナザレに住む映画監督エリア・スレイマンは新作映画の企画を売り込むため、ナザレからパリ、ニューヨークへと旅をする。
旅立つ前のナザレでは、暴力的な若者たちの集団や真面目に仕事しているとは思えない警官たちの姿を目にし、隣人ははた迷惑で厚かましい。
パリでは美しい景観や最先端のファッションに身を包む華やかな人々に気を取られつつ、街を歩けば一方では施しを受けるため行列する貧しい人々や、走りまわる警官たちに出くわす。
ニューヨークではナザレから来たということでタクシーの運転手に大歓迎されるも、映画の企画は受け入れられず、街には銃を持った人々が溢れている。
失意のままナザレに戻る監督だが、そこには変わらぬ日常があった。
混迷する世界をコミカルかつエレガントに、アイロニーを込めて静的な美しさで描き出す作風は現代において随一と言っても過言ではないだろう。
本作はただのコメディではない。
ユーモラスでありながら、スレイマン監督の生まれ故郷であるパレスチナや混沌へと向かっていく世界への強いメッセージが込められている。
「パレスチナ系イスラエル人」であるエリア・スレイマン監督は、自ら静かなる視線を持つ道化として「パレスチナ問題」や「パレスチナ化」する世界をユーモラスに描き出し、世界に笑いと賞賛を巻き起こした奇才である。
過去作でも監督本人に近い役柄で出演していたが、本作ではより監督本人とも言えるキャラクターで出演している。
さらに、今回は本人役でガエル・ガルシア・ベルナルがスレイマン監督の友人役として登場している。
Awards:
- 2019年カンヌ国際映画祭:特別賞・国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)
- 第92回アカデミー賞:国際長編映画賞・パレスチナ代表
- 2019年セビリア・ヨーロッパ映画祭:最優秀ヨーロッパ映画制作賞
『天国にちがいない』(2019年・フランス・カタール・ドイツ・カナダ・トルコ・パレスチナ合作・1時間42分)
監督:
エリア・スレイマン
出演:
エリア・スレイマン、ガエル・ガルシア・ベルナル、タリク・コプティ、アリ・スリマン
© 2019 RECTANGLE PRODUCTIONS – PALLAS FILM – POSSIBLES MEDIA II – ZEYNO FILM – ZDF – TURKISH RADIO TELEVISION CORPORATION
2021年1月29日 ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館 他 全国順次公開‼
VOIDセレクト‼ エリア・スレイマンを知る3本‼
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