西ドイツが生んだ偉大な芸術家を描く『ある画家の数奇な運命』
実在する現代美術界の巨匠をモデルに悲しき戦争の呪縛にあらがいながらもその芸術への思いを世界へ羽ばたかせた青年の感動の物語
Story:
ナチス政権下のドイツ、少年クルトは芸術を愛した叔母と暮らしていたが、精神のバランスを崩した叔母が病院送りとなり、こともあろうに安楽死政策によって叔母の命は奪われてしまう。
戦後、東ドイツの美術学校へ進んだクルトはエリーという叔母似の女性と恋におちる。だが、皮肉なことにエリーの父は叔母の命を絶った元ナチス高官であったのだ。
そんな残酷な運命など知らず二人は結婚し、東ドイツの美術界に疑問を持ったクルトは妻エリーを連れ立って、ベルリンの壁が築かれる前、西へ亡命する。
西ドイツでもアーティストとしては苦難の連続であったが、どんな時でもクルトは、叔母が教えてくれた「真実はすべて美しい」という言葉を胸に刻みながら描き続けたのだった。
Behind The Inside:
モデルの画家は、現代アートの巨匠、ゲルハルト・リヒター
本作の画家のモデルは、近年では、ギタリスト、エリック・クラプトン所蔵の抽象画作品『アプストラクテス・ビルト(809-4)』がサザビーズで生存する画家の作品としては史上最高額の約26億9000万円という高値で落札され、ドイツ最高峰の画家と呼ばれる現代美術の巨匠、ゲルハルト・リヒター(現在88歳)
映画化に際しリヒターは快諾したが、以下の二つの条件を出してきた。
- 人物の名前は変えること
- 何が事実であるか、またフィクションであるのかは絶対に明かさないこと
この条件を元に芸術家についての実話物の映画化以上のイマジネーションを感じさせる作品『ある画家の数奇な運命』が完成した。
ゲルハルト・リヒターのアートは瀬戸内の豊島にて『ゲルハルト・リヒター 14枚のガラス/豊島』が恒久展示されている。
Awards:
- 第91回アカデミー賞:外国語映画賞・ドイツ選出
- 第91回アカデミー賞:撮影賞・キャレブ・デシャネル(ノミネート)
- 第75回ヴェネチア国際映画祭・Leoncino d’Oro Agiscuola Award・フロリアン・へンケル・フォン・ドナースマルク
『ある画家の数奇な運命』(2018年・ドイツ・イタリア・2時間29分)
監督:フロリアン・へンケル・フォン・ドナースマルク
出演:トム・シリング、セバスチャン・コッホ、パウラ・べーア、ザスキア・ローゼンタール、オリヴァー・マスッチ
©2018 PERGAMON FILM GMBH & CO.KG / WIEDEMANN & BERG FILM GMBH & CO. KG
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