『ホモ・サピエンスの涙』ヴェネチア国際映画祭 銀獅子賞受賞!! 巨匠ロイ・アンダーソン監督最新作!!
スウェーデンの奇才、映像の魔術師ロイ・アンダーソン監督待望の最新作!!
前作『さよなら、人類』でヴェネチア国際映画祭の金獅子賞(グランプリ)に輝いたスウェーデンの巨匠ロイ・アンダーソン監督最新作。
さらに5年ぶりに発表した本作でも同映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)受賞という快挙を成し遂げている。
時代も年齢も異なる人々が織りなす悲喜劇を、アナログ撮影にこだわりのある“映像の魔術師”ロイ・アンダーソン監督が描く。
CGはほぼ使用せず、自身が所有する巨大なスタジオ〈Studio24〉にセットを組み、模型や手描きの背景画を多用しリアルな街並みを再現。
構図・色彩・美術と細部までこだわり抜いて計算し作り上げ、全33シーン全てをワンシーンワンカットで撮影するという方法で、アンダーソン監督ならではの絵画のような映像美を作り上げている。
絵画にインスパイアされたシーンの数々
画家を目指していた時期もあったというロイ・アンダーソン監督好みのシャガール、レーピン、オットー・ディックスなどの名画から、ロシアの社会風刺画まで網羅し映画のシーンで再現。
もちろん、ただ再現するのではなく全人類(ホモ・サピエンス)に対するメッセージをウィットやアイロニーを交えながら描く。
そこには、ヴェネチア国際映画祭の金獅子賞(グランプリ)に輝いた前作『さよなら、人類』など「リビング・トリロジー」三部作でも語っているように、傷つくことができるのは人間だけである。
だからこそ、人は人の悲しみや苦しみを知り、互いを思いやれるのだという、アンダーソン監督からの愛と希望に満ちたメッセージが込められている。
映画の中では、戦禍に見舞われたドイツ・ケルン上空を恋人たちが漂うシーンが登場。
恋人や結婚をテーマにした幻想的な作風で「愛の画家」と呼ばれるシャガール。
「街の上で」では、故郷ヴィテブスクの上空で妻ベラと抱き合いながら浮遊する自身の姿を描いている。
血を流して倒れる娘を抱いて歎く父親のシーン。
近代ロシア絵画を代表する画家イリヤ・レーピン。
荒々しい気性で「雷帝」と恐れられたロシア皇帝イワン4世が、息子である皇太子イワンを杖で殴り殺してしまったという記録をもとに描かれたため、発表後に論争を巻き起こした。
これまで2度の破壊行為に遭っているという曰く付きの絵画である。
「The end」の構図やニュアンスまで完全に再現したかのようなシーン。
ククルイニクスイは、クプリヤノフ、クルイロフ、ソコロフの3人の名前を合わせた名前で旧ソ連の代表的な漫画家グループ。
画中では身を潜めていた地下壕で終わりを悟るヒトラーとその取り巻きの姿が描かれている。
実在したドイツの女性ジャーナリスト、シルヴィア・フォン・ハルデンを描いたオットー・ディックスの作品。本作では特定のシーンとしては登場しないが、この絵画そのものが映画に影響を与えたとアンダーソン監督は語っている。
またこれら以外にも、ピカソに「二十世紀最後の巨匠」と称えられたバルテュスや、アメリカ文化に数々の影響を与えた「ナイトホークス」で知られるエドワード・ホッパーなどからの影響もあるとアンダーソン監督は語っている。
探せばまだまだアートからインスパイアされた部分も見つかるかもしれません。
名画との共通点を探しながら、アンダーソン監督のユーモアに満ちた詩的な世界と絵画のような映像美を堪能すれば、楽しさもより倍増するのではないでしょうか。
Awards:
- 第76回 ヴェネチア国際映画祭 銀獅子賞
- 第76回 ヴェネチア国際映画祭 コンペティション部門 出品作品
『ホモ・サピエンスの涙』(2019年・スウェーデン・ドイツ・ノルウェー・1時間16分)
監督:ロイ・アンダーソン
出演:マッティン・サーネル、タティアーナ・デローナイ、アンデシュ・ヘルストルム、ヤーン・エイェ・ファルリング、ベングト・バルギウス、トーレ・フリーゲル
© Studio 24
2020年11月20日より
ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館 他
全国順次公開‼
ロイ・アンダーソン監督代表作【リビング・トリロジー・3部作】
愛おしき隣人 [DVD]
散歩する惑星
さよなら、人類