
同性愛が「名前のない愛」だった時代。『ワールド・トゥ・カム 彼女たちの夜明け』
19世紀半ばのアメリカ、現代よりもさらに女性が抑圧されていた時代。優しく知性的なアビゲイルと自由で快活なタリー。対照的なふたりの女性が惹かれあう愛の物語

1856年、ニューヨーク州北部。
アビゲイル(キャサリン・ウォーターストン)は夫のダイアー(ケイシー・アフレック)と共に農場を営んでいた。
アビゲイルにとって内向的なダイアーとの生活は味気なく、田舎暮らしは退屈そのものな上、幼い娘をジフテリアで亡くしたばかりでもあり、暗い気持ちで新年を迎えていた。
その春、近所にタリー(ヴァネッサ・カービー)とフィニー(クリストファー・アボット)夫妻が引っ越してきた。
タリーは自由な生き方を求めており、嫉妬深く暴力的な夫に気を使いながら過ごす生活に内心うんざりしていた。
そんなタリーとの出逢いによって、鬱屈していたアビゲイルの生活に変化が訪れる。
暗く厳しい労働や夫への不満などに埋め尽くされた生活の中、愛や刺激に飢えていた2人は急速に惹かれ合っていく。
だが、同性愛が「名前のない愛」だった時代、世界はそんな2人を許すはずはなかった・・・。
本作の主要撮影はルーマニアのトランシルバニアで行われたが、ヴァネッサ・カービーは撮影が始まったばかりの時に足首を捻挫しており、監督は彼女の動きを調整し直している。
調整が入ったとはいえヴァネッサ・カービーも怪我を感じさせない演技を見せており、さすがの女優魂である。
Awards:
- 第77回ベネチア国際映画祭: シルバーリボン賞(ベスト・ペア賞)・モナ・ファストヴォールド、クィア・ライオン賞・モナ・ファストヴォールド
- ロシュ=シュル=ヨン映画祭:審査員特別大賞・モナ・ファストヴォールド
- ストックホルム映画祭:アルミナム・ホース賞(主演女優賞)・キャサリン・ウォーターストン
『ワールド・トゥ・カム 彼女たちの夜明け』(2020年・アメリカ・1時間38分)
監督:
モナ・ファストヴォールド
出演:
ヴァネッサ・カービー、キャサリン・ウォーターストン、クリストファー・アボット、ケイシー・アフレック
© 2021 Tallie Productions LLC. All Rights Reserved.
VOIDセレクト:ヴァネッサ・カービーおすすめ
More To Read:
【更新】2022年1月10日