親密すぎる少年たちの痛みを伴う成長譚『CLOSE クロース』
大親友同士の13歳の少年二人の関係が環境の変化と共に移り変わりゆく様を描きながら、友人関係とは? そして大人になってゆくことで失われてゆくこと、生じてくる責任や自覚について語られてゆく。
少年たちの心の揺らぎを真摯に捉えた感動の成長物語。
Story:
ベルギーの田舎町。
13歳の少年レオ(エデン・ダンブリン)とレミ(グスタフ・ドゥ・ワエル)は、いつも一緒に過ごす大親友同士。
レミのベッドで添い寝するのがレオの日課でレオを二人目の息子くらいに親密に感じているレミの両親ソフィー(エミリー・ドゥケンヌ)とピーター(ケヴィン・ヤンセンス)も男の子同士が一緒に寝ていることには特に気にも留めていない様子。
やがて二人は高校生となり、クラスメートの女友達からは二人はデキているのか?と怪しまれるが激しく否定するレオ。
男友達からも同性愛疑惑をかけられ、仲間外れにされることを恐れたレオは新しい友人関係を築き、アイスホッケーを始めるのだった。
その後もレミと添い寝をしても別のマットレスで眠るようになるレオ。
そしてレオの温もりが残ったマットレスでレミが寝ていることを知り、レオとレミの関係はギクシャクし始める。
Behind The Inside:
監督に電車で見初められたラッキーボーイのエデン
監督のルーカス・ドンは電車に乗車中、向かいの席に座り友人と話しているエデン・ダンブリンを見初めて、主人公のレオ役にキャストしたという。
だが、ルーカスは、マックス・リヒターの音楽をイヤホンで聴いている最中で、肝心のエデンの声は聞いていなかったそうだ。
決め手はエデンの表情で、彼以外にレオ役は考えられないとルーカス・ドン監督は直感で感じたのだという。
エデンにとっては、映画初出演にして主演を演じたこととなる。
Under The Film:
ホックニーの名画が本作の創造の源泉
イギリス人芸術家デヴィッド・ホックニーが、ホモセクシュアリティをテーマに暗いトーンで描いていた時代の作品である”We Two Boys Together Clinging”(1961年)のタイトルが本作を撮影中時のワーキング・タイトルであった。
監督のルーカス・ドンは、この一枚に深く影響され、本作を製作するに至った。
Awards:
- 第95回アカデミー賞・ノミネート:国際長編映画賞(ベルギー選出)
- 第75回カンヌ国際映画祭:グランプリ
- ナショナル・ボード・オブ・レビュー:最優秀外国映画賞
『CLOSE クロース/ Close』(2022年・ベルギー・オランダ・フランス・1時間44分)
監督:
ルーカス・ドン
出演:
エデン・ダンブリン、グスタフ・ドゥ・ワエル、エミリー・ドゥケンヌ、レア・ドリュッケール、ケヴィン・ヤンセンス 他
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