バイクを偏愛するアウトロー、ジュリアが男ばかりの反社会的なアーバン・ロデオのバイカー組織「クロスビトゥーム」に仲間入りしたことから巻き起こる波乱。
監督はジェンダー・ニュートラルの時代に現れ、既存のフランス映画界の常識を一掃した感のある新時代を代表するローラ・キヴォロン。
主演のジェリー・ルドリューはインスタグラムから見出されたインフルエンシャルなアウトロー・ライダーで演技未経験だが、彼女の何をやらかすか分からない暴発性と疾走感溢れる破壊の天使っぷりに圧倒される。
Story:
バイクなしの生活などあり得ない勝ち気なバイカーのジュリア(ジェリー・ルドリュー)。
ある夏の日、ノーヘルでアクロバティックに公道を爆走する無軌道なバイカーのグループ「クロスビトゥーム」に出会う。
ある事件をきっかけに彼らの仲間となったジュリアは男性中心の集団の中で自分の存在を誇示するためにイキがった行動を繰り返す。
だが、無理難題を彼女に押し付けてくる彼らに対して辟易とし、組織に対して疑問を抱き始めるジュリア。
そして、彼女の我慢が臨界点を超えた時、「クロスビトゥーム」との全面闘争が待っていた。
Behind The Inside:
ほぼ素人だけで構成された役者陣によるドキュメンタリー・チックな作風
出演陣は、ジュリアを演じた主演のジェリー・ルドリュー以下、ほぼ全てのメンツがリアルライフでもアーバン・ロデオのバイカーである素人が演じている。
バイカーを追い続けてきたローラ・キヴォロンは、社会的な視点で撮った短編映画『ボルチモアから遠く離れて』(2016年)を発表した。
その後もバイカーと旅を続けながら、長編劇映画の企画を練り、主演を演じる女性を探し求めてきたが、数年前、インスタグラムでジェリー・ルドリューを発見し、会ってみると想定していたキャラクター像と偶然にも同じ経験をしてきたジェリー以外に主役は考えられないと感じ、全く演技経験のなかったジェリーにオファーしたという。
監督からの口伝(くでん)で演技陣に伝える台本のないリハーサルや自然光を使ったドキュメンタリーのような撮影方法など、通常の劇映画作りとは異なった制作手法が取られた結果、リアリズムを超えたエネルギッシュな世界観が作られた。
Awards:
- 第75回カンヌ国際映画祭:ある視点部門・Jury Coup de Coeur(一目ぼれ賞)受賞・ローラ・キヴォロン
- トリノ映画祭:最優秀女優賞・ジェリー・ルドリュー
- ヴァンクーバー国際映画祭:観客(未知への挑戦)賞・ローラ・キヴォロン
- レイキャビク国際映画祭:ゴールデン・パフィン(ニュー・ヴィジョンズ)賞・ローラ・キヴォロン・ローラ・キヴォロン
『Rodeo ロデオ/Rodeo』(2022年・フランス・1時間45分)
監督:
ローラ・キヴォロン
出演:
ジェリー・ルドリュー、ヤニス・ラフキ、アントニア・ブレジ、コーディ・シュローダー、ルイ・ソットン、ジュニア・コレイア、アハメッド・ハムディ、ダブ・ンサマン、ムスタフ・ディアンカ、モハメド・ベッタアール、クリス・マコディ、ジャンニ・カイラ、クエンティン・アリジ、ブリジ・ストラエイリ、セバスティアン・シュローダー 他
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Reels:
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