Happy Birthday to ヴェルナー・ヘルツォーク
本日、9月5日は、ドイツが生んだニュージャーマンシネマの旗手の一人、ヴェルナー・ヘルツォークの78歳の誕生日です。
ヘルツォーク監督の代表作といえば、監督が若かりし頃にメガホンをとった『アギーレ/神の怒り』(1972年)『ノスフェラトゥ』(1979年)『フィツカラルド』(1982年)の3本で大概のシネフィルは度肝を抜かれます。
世界中のシネフィルと著名な俳優を含めた映画関係者から今も愛され続けるヴェルナー・ヘルツォークとはどんな人物なのか?
学生の頃、新宿、歌舞伎町にかつてあったアートハウス系単館映画館、東急シネマスクエアで『フィツカラルド』を観た時の衝撃は今も重く引きずっています。アマゾンの奥地にオペラハウスを建設するためにそこへ船で向かうという狂気じみたストーリーは、人力で船を押して山越えするという信じられない所業と共にクライマックスへゆっくりと重々しく向かっていきます。
実際にアマゾンでロケしたというこんな途方もない労苦を伴うスケールの映画を撮るドイツ人は一体どんな人なのだろう?と自分の中では長年、大いなる謎でした。
ヴェネチア国際映画祭へ取材で出かけた際、映画『神に選ばれし無敵の男』(2001年)を持ってきていたヘルツォーク監督へ思いがけずインタビューできる機会があり、「初期の物凄い気迫の作品群と比べて、近年、商業映画をあまり撮らなくなったのは何故なのか?」とぶつけたところ、意外な答えが返ってきました。
ヘルツォーク「いや、そもそも映画はそんなに好きでもないのだよ、最近はオペラの舞台演出の方が忙しい、あとドキュメンタリー製作もね」と言われ、その都度、興味の向く方向が変わるのか、他に理由があるのか? 一般的な映画監督とはメンタルがあまりにもかけ離れていて驚いたものです。
その後も時折、商業映画を撮りながら、かなりの本数のドキュメンタリー撮影を行ってきました。
監督最新作は、家族をレンタルできる人間代行ビジネスを描いた実話ベースの映画を日本でオールロケした作品でカンヌ国際映画祭 ある視点部門にも出品・上映された『ファミリーロマンス社』(2019年・アメリカ・1時間29分)
長年培ってきたドキュメンタリストとしての眼と商業映画での演出手腕を活かしフィクションとドキュメンタリーがないまぜになったような作風。
実はヘルツォーク監督は俳優でもあります。
近年もトム・クルーズ主演の『アウトロー』(2012年)に重要な役どころで出演しています。
またスターウォーズ初の実写ドラマ・シリーズ『マンダロリアン』にも出演しています。
映画監督のみならずマルチなご活動、一体、どの自分が一番好きなのか?訊ねてみたいものです。
老いてますますのご活躍を楽しみにしています。