Born This Day テリー・ギリアム
今日は、イラストレーター、アニメーター、コメディアン、俳優、作家、脚本家、美術監督、そして、映画監督といくつもの顔を持つ奇想の映像作家テリー・ギリアムの80歳の誕生日です。
ギリアム監督といえば、古くは映画会社との完成尺の長さや契約に関しての騒動が起きた傑作SF映画『未来世紀ブラジル』(1985年)が代表作です。
Brazil (字幕版)
19年の年月をかけ9度の映画化の頓挫の末、日本でも2020年1月に公開された『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』(2018年)など、自らのヴィジョンを映像化するために狂気じみた並々ならぬ執念をすら感じる映像作家であります。
テリー・ギリアムのドン・キホーテ(字幕版)
1990年代後半に来日したギリアム監督に日比谷の高架下にたたずむ古びた居酒屋で単独インタビューをしたことがあります。
当時の最新作映画『12モンキーズ』のことは勿論のこと、映画会社とのバトル・オブ・ブラジルの話を聞こうと勇み足で行ったものですが、『未来世紀ブラジル』に関しては、監督としては当時、相当に凹んだらしく大した話は引き出せませんでした。
神経質なタイプを想像していましたが、終始ニコニコしているが視線はあまり合わせず、想像の海でいつも泳いでいるようでした。快活で風変りな人物、そんな印象で商業映画監督としては非常に珍しい生粋のアーティスト・タイプの方でした。
映画版を元にTVドラマ・シリーズ化されたウィルスによる人類殲滅を防ぐためタイムトラベルを続ける主人公の物語『12モンキーズ』に続き、最新作はふとしたきっかけで少年が自分の部屋から時間旅行をするSF映画『バンディットQ』(1981年)のリメイク・ドラマが、子供が主人公の作品演出に長けたタイカ・ワイティティ監督でアナウンスされたばかり。
12モンキーズ バリューパック [DVD]
12モンキーズ シーズン2 バリューパック [DVD]
「ぶざまなほど統制された人間社会の狂気と、手段を選ばずそこから逃げ出したいという欲求」という共通テーマを元に『バンディットQ』は、当時、『未来世紀ブラジル』(1985年)と『バロン』(1988年)の3作品で一種のトリロジーとして製作されました。
『バンディットQ』は、以前、出演陣の他界のため立ち消えてしまった続編の話があったので、ギリアム監督としては、願ってもないドラマシリーズ化に違いありません。
バンデットQ (字幕版)
バンデットQ 製作30周年記念 スペシャル・エディション [Blu-ray]
テリー・ギリアムを知るための本3選:
テリー・ギリアム―映画作家が自身を語る
モンティ・パイソン正伝
バトル・オブ・ブラジル「未来世紀ブラジル」
テリー・ギリアムを知るためのドキュメンタリー作品:
ディレクターズ テリー・ギリアム [DVD]
映画『ドン・キホーテを殺した男』製作プロジェクトが暗礁に乗り上げ、中止するまでを克明に追ったドキュメンタリー映画。当初は、本篇のメイキングとして撮影されていたものが2002年に劇場公開された。
ロスト・イン・ラ・マンチャ(字幕版)