現代に甦った妖艶な水の精の哀しき愛の運命『水を抱く女』
名匠クリスティアン・ペッツォルトが怖ろしくも哀しく、魅惑的な“水の精”の伝説を大胆かつ繊細に現代の神話として描く
ウンディーネ(パウラ・ベーア)はベルリン都市開発を研究する歴史家で、アレクサンダー広場に隣接する小さなアパートで暮らしながら、博物館でフリーランスのガイドとして働いている。
恋人のヨハネス(ヤコブ・マッチェンツ)が他の女性に心変わりし別れを切り出され、自分を裏切ったら殺さなければならないと警告するが、ヨハネスは本気にせずウンディーネの元から立ち去ってしまう。
哀しみにくれていたウンディーネの前に、優しく愛情深い潜水作業員のクリストフ(フランツ・ロゴフスキ)が現れ、ふたりは数奇な運命に導かれるように激しく惹かれ合う。
だが、次第にクリストフはウンディーネが何かから逃れようとしているような違和感を覚え始める。
そのとき、彼女は自らの宿命に直面しなければならなかった・・・。
官能的なバッハの旋律にのせて、繊細に描写されるミステリアスな愛の叙事詩。
Must Point:
本作でパウラ・ベーア(フランソワ・オゾン監督『婚約者の友人』(2016年)、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督『ある画家の数奇な運命』(2018年))はそのどこかあどけなさを感じさせつつも妖艶で、現代的でありながら人ならぬ者の神秘的な魅力を持つヒロインを見事に演じ、ベルリン国際映画祭銀熊賞やヨーロッパ映画賞女優賞など多数の賞を受賞している。
心優しい潜水作業員のクリストフ役にはダンサーや振付師としても活躍する『希望の灯り』のフランツ・ロゴフスキ。
パウラ・ベーアとフランツ・ロゴフスキはクリスティアン・ペッツォルト監督の前作『未来を乗り換えた男(2018)』にも出演しており、本作で2回目の共演となる。
才能ある二人が醸し出す濃密さが、ミステリアスな本作の魅力をより一層際立たせている。
Awards:
- 第70回ベルリン国際映画祭:銀熊賞(最優秀女優賞)
- 第70回ベルリン国際映画祭:国際映画批評家連盟(FIPRESCI賞)
- 第33回ヨーロッパ映画賞:女優賞
『水を抱く女』(2020年・ドイツ・フランス・1時間30分)
監督:
クリスティアン・ペッツォルト
出演:
パウラ・ベーア、フランツ・ロゴフスキ、マリアム・ザリー、ヤコブ・マッチェンツ
© SCHRAMM FILM / LES FILMS DU LOSANGE / ZDF / ARTE / ARTE France Cinéma 2020
2021年3月26日 新宿武蔵野館他 全国順次公開‼
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