
7代目007、新ジェームズ・ボンドは誰なのか?
現在まで60年もの間続いてきた、英国諜報機関MI6の007(ダブル・オー・セブン)のコードネームを持つシークレット・エージェント、ジェームズ・ボンドが活躍するスパイ・アクション『007』シリーズ。
6代目ボンドであるダニエル・クレイグの降板を機に様々なネクスト・ボンドが予想されている。
ブック・メーカーのウィリアム・ヒルからも予想オッズが数年前から登場し、誰がその大役を射止めるのか?その予想は 日々、変わり続けている。
7代目発表の時期は迫ってきている。
果たして誰がニュー・ボンドとなるのか!?
ネクスト・ボンドになるための条件とは?
- イギリス人であること。
- 身長約177センチ以上(ボンド史上最も低かったダニエル・クレイグの身長は、177.8センチ)
- 製作者バーバラ・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソンによれば、ボンドになったら10年から12年は活躍して欲しいとの思いから、映画の撮影時で30代であることが条件となる。
撮影開始時点で30代で身長177センチ以上のイギリス人俳優で候補として噂されているのは次に挙げる4名の俳優である。
アーロン・テイラー=ジョンソン

現在、ネクスト・ボンドとして噂のトップ・ランナーが、アーロン・テイラー=ジョンソン(ユダヤ人を祖先に持つロシア系イギリス人/32歳/身長180cm)
『キック・アス』(2010年)でのスーパーヒーローに憧れるヲタクのトボけた若者役で人気を呼び、近作では、『ブレット・トレイン』(2022年)での殺し屋タンジェリン役のクールな極悪ぶりは印象深い。クールとユーモアを同時に発揮できる稀有な俳優。
『ブレット・トレイン』、『TENET テネット』(2020年)、『キングスマン:ファースト・エージェント』(2021年)といったアクション大作での好演から浮上してきているのは間違いない。
過去には、『アメイジング・スパイダーマン』(2012年)の主演ピーター・パーカー役をアンドリュー・ガーフィールドと取り合い、アンドリューに敗れた苦い経験を持つ。
参考までにアーロンのお気に入り映画は、以下の5本
- 『地獄の黙示録』(1979年)
- 『パルプ・フィクション』(1994年)
- 『ブギーナイツ』(1997年)
- 『ビッグ・リボウスキ』(1998年)
- 『ファイト・クラブ』(1999年)
Awards:
第74回ゴールデングローブ賞:助演男優賞・アーロン・テイラー=ジョンソン『ノクターナル・アニマルズ』(2016年)
ジェームズ・ノートン

幼少時に演技に目覚め、5歳から演じることを始めたという、役者になるべく生まれてきたかのようなジェームズ・ノートン(アイルランド、スコットランド、コーンウォールと16分の1の東欧系ユダヤの血をひくイギリス人/37歳/身長185cm)。
彼は学生時代にネパールを旅し、そこで出会った仏教に強く影響を受けたという。
イギリスのアートスクールにて教鞭を執っていたタンザニア生まれの父の影響からか、当時の大学院の旅行資金を得てインド北部にある16カ所の学校へ赴き、子供たちに演技を教えたというユニークな経験を持つ。
また自分の仕事を知って欲しいという思いからか、ジェームズが出演する作品の撮影現場には、父にエキストラ出演をしてもらっているという。
カトリックスクールに通い、熱心に神学を学んだというジェームズはとても敬虔な人物であるが、ドラマ『ハッピー・バレー 復讐の町』(2014年)でサイコパスを演じてからは、自分自身が変わったと述べている。
深い知性が感じられ、俳優としても更に一皮剥け、ニュー・ボンドとなる可能性も充分あり得る。
Awards:
犯罪スリラー賞:最優秀助演男優賞・ジェームズ・ノートン『ハッピー・バレー 復讐の町』(2014年)
ファロ諸島映画祭:最優秀アンサンブル・キャスト賞・他出演陣総勢9名共に受賞『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』(2019年)
リチャード・マッデン

生まれつき前髪の一部がグレーになっているのがトレードマークであるリチャード・マッデン(スコットランド人/36歳/身長177cm)は、シャイな性格を直すために幼少時から演技の勉強をしてきたという。
2019年に英国王立スコットランド音楽院で演技についての名誉学位である博士号を授与されている。
洋服は大好きだがレッド・カーペット・ウォークのような派手なことを嫌うリチャードは、演じることについても大変真面目であり、デレク・ジャコビやステラン・スカルスガルドのような名優と一緒の現場にいるのは、毎日が演技のマスタークラスで学んでいるようなものだと述べている。
またフィリップ・シーモア・ホフマンやマイケル・ファスベンダーといったカメレオンのように役柄を変化させられる俳優になりたいとも言っている。
リチャードはSF映画が大好きだそうで、『エターナルズ』(2021年)への出演で念願を果たしたと言えるだろう。
大人気ドラマ・シリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011年)やBBCの骨太な警官ドラマ『ボディガード -守るべきもの-』(2018年)の成功からポッと出の俳優と思われがちだが、幼少時から演者となり、絶えず求道的な姿勢で演技に挑み続けるのがリチャードの強みであり、今後もその伸び代は計り知れない。
Awards:
第76回ゴールデングローブ賞:最優秀主演男優賞(ドラマ部門)・リチャード・マッデン『ボディガード -守るべきもの-』(2018年)
英国ナショナル・テレビジョン・アワード:ベスト・パフォーマンス賞・『ボディガード -守るべきもの-』(2018年)
レジ=ジーン・ペイジ

レジ=ジーン・ペイジ(イギリス人/34歳/身長180cm)は、白人だけではなく黒人やアジア人をメイン・キャラクターに据えてロンドン社交界の名門貴族のブリジャートン家の8人兄弟の愛と希望に溢れた人生を追ったNetflixドラマ『ブリジャートン家』のサイモン・バセット役で大ブレークを果たした。
ドラマを学ぶ学校に入校するために2年を費やしたと言い、演技のためなら他のことは全部ダメになってもよいとさえ述べている。
また俳優業を通して、黒人であることの意義を貫きたいといった意味に取れる内容の発言やジェンダーやセクシュアリティについてもノーマルであることの境界を取り払っていきたいとも述べている。
こうした意見は『007』シリーズの製作サイドが唱えている次世代のボンド像とも重なるところである。
Awards:
MTVムービー&TVアワード:ブレイクスルー・パフォーマンス『ブリジャートン家』(2020年)
GQ Men of the Year Awards(英国版):スタンドアウト・パフォーマンス・レジ=ジーン・ペイジ
最も有力なネクスト・ボンド候補は・・・?
アーロン・テイラー=ジョンソンの近年の出演作は、スパイものやアクションものが続いていることもあり、役柄をイメージし易い。また、そのクールな佇まいとは裏腹のコミカルさも併せ持っている。
ジェームズ・ノートンは幼少時から鍛錬した生粋の俳優としての資質とその知性が、MI6きってのシークレット・エージェントを演じる上で強力な武器となる。
リチャード・マッデンもまた演技を学び続けたことで博士号を取得し、近年では『ロケットマン』(2019年)でのエルトン・ジョンを自堕落にさせ翻弄するマネージャー役の好演など、さらに演技に磨きをかけ続けている。
特筆すべきはリチャード主演のNetflixドラマ『ボディガード -守るべきもの-』(2018年)での、政治や陰謀を背景にした苦悩に満ちた退役軍人の警官デイビッド役。この人であればボンドを演じられるのではないか?と信じさせてくれるに足る内容の演技である。
レジ=ジーン・ペイジは愛に溢れた明るいキャラクターから、Netflix映画『グレイマン 』でのロウ・キィで抑えたムードのワルを演じるなど、演技の幅も広く、オフでの軽妙洒脱なコミュニケーション力からもその地頭の良さが伺える。
以上、4名の候補者から弊誌VOIDが考えるネクスト・ボンドは、次世代のボンド像もダニエル・クレイグに少し寄せていくのであれば、決して長身ではなく無骨さとは無縁だが、人前に立つ時、いつもファッショナブルな出で立ちで華やかさがあり、演者としての気概も感じられるリチャード・マッデンが有力と思える。
一体、誰がネクスト・ボンドとなるのか?
思わぬ伏兵が現れる可能性も無きにしも非ずだが、今年、楽しみにできるニュースの一つであることには間違いない。