ハリウッド映画界の巨匠スティーブン・スピルバーグはいかにして映画監督になったのか?
映画館で映画と運命的に出会った幼少期から、映画監督になる大きな夢を抱きつつ邁進しながらも葛藤する青年期を描き、偉大な映画監督になるべくして形作られてゆく様を軽快に描く心温まるヒューマン・ストーリー。
Story:
第2次世界大戦後のアメリカ、アリゾナ州、少年サミー・フェイブルマン(マテオ・ゾーリァン/ガブリエル・ラベル)は、初めて映画館で映画を観て以来、映画の虜となる。
母ミッツィ・フェイブルマン(ミシェル・ウィリアムズ)は、そんなサミーに8ミリ・フィルムカメラを買い与えて応援するのだった。
家族や友人たちが登場する日々の出来事を8ミリに撮影してゆくサミーは、徐々に映画監督への夢を膨らませてゆく。
だが、科学者の父、バート・フェイブルマン(ポール・ダノ)は、映画撮影など単なる趣味としてしかとらえていなかった。
夢を支えてくれるミッツィと否定するバートの間で葛藤するのサミーだったが、様々な人々との交流を経て、彼自身も成長しながらハリウッドへの夢を形にしてゆく。
Behind The Inside:
コロナ禍と74歳という年齢から自伝的作品を撮ることになったスピルバーグ監督
数年かけて、劇作家であり脚本家のトニー・クシュナーとアイデアのキャッチボールをして温めてきたスピルバーグ監督であったが、コロナ禍で自分のスケジュールが空き、トニーとリモートで互いの家で脚本を書いてはすり合わせ、数ヶ月でストーリーを書き上げたという。
ずっと自伝的な作品を撮りたいがどうしようと思案してきたが、最後に「撮りなさい」と肩を押してくれたのは、愛妻ケイト・キャプショーだそうだ。
ケイトとスピルバーグは、ケイトが『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984年)へ出演し、その縁で1991年に結婚している。
Under The Film:
映画に夢中だった少年時代を思い返して撮影中、泣いてばかりいたスピルバーグ監督
劇中、サミーは母からプレゼントされた8ミリフィルムカメラで撮影を始め、映画に目覚めてゆくが、当時はまだカメラを持って外で8ミリ撮影をすることはとても珍しいことで、撮影したフィルムを部屋で切って繋ぐ地道な手作業による編集が懐かしくて堪らないとスピルバーグ監督は述べている。
本作の撮影中もセットで監督は、子供時代が懐かしくて泣いてしまうことがよくあったそうである。
コロナ禍で74歳にして自伝的な作品を撮る気持ちに至った経緯を考えるともらい泣きしてしまうエピソードである。
Awards:
- 第95回アカデミー賞・ノミネート:作品賞、監督賞・スティーヴン・スピルバーグ、主演女優賞・ミシェル・ウィリアムズ、助演男優賞・ジャド・ハーシュ、脚本賞・スティーヴン・スピルバーグ、トニー・クシュナー、作曲賞・ジョン・ウィリアムズ、美術賞・リック・カーター、カレン・オハラ
- ゴールデングローブ賞:作品賞、監督賞・スティーヴン・スピルバーグ
- ナショナル・ボード・オブ・レビュー:最優秀監督賞・スティーヴン・スピルバーグ、新人賞・ガブリエル・ラベル、今年10本の映画
- トロント国際映画祭:観客賞
- アメリカン・フィルム・インスティチュート賞:今年の映画
- 放送映画批評家協会賞:最優秀新人俳優賞・ガブリエル・ラベル
『フェイブルマンズ/The Fabelmans』(2023年アメリカ・インド・2時間31分)
監督:
スティーヴン・スピルバーグ
出演:
ミシェル・ウィリアムズ、ポール・ダノ、ガブリエル・ラベル、マテオ・ゾーリァン、ジャド・ハーシュ、セス・ローゲン、ジュリア・バターズ、キーリー・カルステン、アリナ・ブレイズ、バーディー・ボリア、ジーニー・バーリン、ロビン・バートレット、サム・レヒナー 他
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