往年の名作ドラキュラ映画のリブートとされているが、完全にニコラス・ケイジ節全開のコミカルでダークなドラキュラ映画として仕上がっている。
ニックは生涯2度目の吸血鬼役を嬉々として演じており、ニコラス・ホルトがドラキュラ伯爵の相棒として、主人公レンフィールドを演じる。
Story:
20世紀初頭、ルーマニア、トランシルバニアの吸血鬼ドラキュラ伯爵(ニコラス・ケイジ)はイギリス人の法律家R.M.レンフィールド(ニコラス・ホルト)と出会う。
レンフィールドは、土地売買で一儲けを目論んでいたが、敢えなくドラキュラの手下と成り下がってしまう。
だがレンフィールドを殺害した後、ドラキュラもまたヴァンパイア・ハンターのヴァン・ヘルシングに仕留められたものの再生し、レンフィールドを便利なアシスタントとして蘇らせた。
90年後、ヴァンパイア・ハンターの執拗な追跡から逃れるため、ドラキュラとレンフィールドのコンビは渡米し、ニューオリンズを新たな住処としたのだった。
レンフィールドは、麻薬中毒者や鬱など様々な依存症回復のための12ステップ・プログラムの患者の会に参加する。
そこに集った患者たちをドラキュラへの生け贄として差し出す計画だったのだが、ひょんなことから盗まれた麻薬に絡むトラブルに吸血鬼コンビは巻き込まれてゆくのだった・・・。
Behind The Inside:
ニックにとって念願のドラキュラ役
主役以外は、全て出演オファーを蹴るニコラス・ケイジにしては、珍しく2番手の役となる本作だが、出演を快諾している。
それほどまでにニックにとってドラキュラ伯爵を演じるチャンスは、ドリーム・カムズ・トゥルーであった。
実はニックの吸血鬼役は、本作で2度目となる。
美女バンパイアの虜となった青年の破滅を描いたブラック・コメディ『バンパイア・キッス』(1988年)で吸血鬼となる男を楽しそうに演じたニックであったが、30年以上を経て、今度は念願のドラキュラ伯爵を演じることとなった。
14世紀を舞台に十字軍の兵士たちが魔女と疑われた少女を修道院まで護送するファンタジー・アドベンチャー『デビスクエスト』(2011年)の主演をニックが演じた時もホラー作品に出続けているのは、同作の共演者の一人であったドラキュラ映画の名俳優であり、2015年に他界したクリストファー・リーの大ファンであるからだとのコメントを残している。
またニックの叔父にあたるフランシス・フォード・コッポラ監督による『ドラキュラ』(1992年)製作時には、ジョナサン・ハーカー役はキアヌ・リーブスではなく、ニックにやらせたいと申し入れたスタジオ側のリクエストをコッポラ監督は、過去に『ペギー・スーの結婚』(1986年)で、ニックが演出プラン通りに動かず勝手し放題にされ作品をメチャクチャにされたと言う思いからこのスタジオの願いを一蹴している。
本作『レンフィールド』も元々の監督がデクスター・フレッチャーであり、何らかの理由で途中降板してクリス・マッケイにバトンタッチしており、夢のドラキュラ役を演じるニックに歯止めが効かなくなり、コントロール不可能に陥ったのでは?といった憶測も推理できる。
どちらにしてもニック自身がリミッターを外して嬉々として演じていることは間違いない。
本作の面白さは担保されているようなものである。
『レンフィールド/Renfield』(2023年・アメリカ・1時間33分)
監督:
クリス・マッケイ
出演:
ニコラス・ホルト、ニコラス・ケイジ、オークワフィナ、ベン・シュワルツ、ショーレ・アグダシュルー、ブランドン・スコット・ジョーンズ、エイドリアン・マルティネス、カミーユ・チェン、ベス・ラウス、ジェナ・カネル 他
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