失意の男とSM女王との邂逅『ブレスレス』
水難事故で妻を失った後、そのトラウマで無気力となり他人と接することが出来なくなった男がSMの女王様と出会ったことから彼の人生の全てが一変する。 愛の喪失と蜜のように甘い痛みで痺れさせるダーク・ファンタジー
外科医師のユハは夏の休日を、家族とともに湖畔の別荘で過ごしている。
この日も、釣りを楽しみ、妻、娘と優雅でのどかな一日を過ごすはずだった…。
うたた寝をしていたある日の午後、妻が湖の底に沈んでいた網に足をとられ、水死してしまう。
不慮の事故により突然訪れた失意の日々。
以来、ユハは、妻を救えなかったという自責の念から、毎日を無気力で死んだように過ごしていた。
そんな父を心配する娘のエリ。
十数年後、エリがピアスの穴をあけるために訪れた店に同行したユハは、隣接するSMクラブに迷い込んでしまう。
そこには、ボンデージ衣裳に身を包んだドミナトリクスのモナがいた。
客と間違えられたユハは、そこで思いもかけない体験をする。
首を締め付けられ、苦しい息遣いの中で、目の前に現れた映像は妻の死の直前の湖の中だった。
この先に妻がいる。
僅かながらも生きる糧を見つけたユハは、その日を境にモナの元に通いはじめる。
女王様からの屈辱と拘束、そして生死をさまよう窒息寸前のプレイの中で妻の面影を見る日々。
その時間は、ユハにとってかけがえのない時間になっていく。
一方で、快楽を求める抑えられない感情は、仕事や私生活へも少しずつ支障をきたしていく。
やがて、二人のプレイはエスカレートし、さらに危険を増した行為へと発展。
その行為の先に二人が見たものとは。
そして、二人の運命を大きく変える出来事が待ち受けていた。
Behind The Inside:
主演のクリスタは、『ブレードランナー2049』にも出演!
『ブレードランナー2049』(2017年)で演じた娼婦役が印象に残る主演のクリスタ・コソネンはヘルシンキのシアターアカデミーで演劇を6年間学んだ後、俳優、ライターとなった。
監督のユッカペッカ・ヴァルケアパー(『The Visitor』(2008年)『2人だけの世界』(2014年))は、カンヌ、ヴェネチアといった世界三大映画祭で作品を発表し続けている現代フィンランド映画界を代表する監督の一人。
なんと本作では女王様の客の一人として、監督自らカメオ出演している。
Awards:
- 米・オースティン・ファンタスティック・フェスト・最優秀作品賞
- スペイン・モリンズ映画祭・審査員賞
- スペイン・シッチェス・カタロニア国際映画祭・ニューヴィジョンズ賞
- 仏・ストラスブール・ヨーロッパ・ファンタスティック映画祭・クロスオーバー賞
『ブレスレス / Dogs Don’t Wear Pants』(2019年・フィンランド・ラトビア・105分)
監督: ユッカペッカ・ヴァルケアパー
出演: クリスタ・コソネン、ペッカ・ストラング、他
© Helsinki-Film、Tasse Film
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【更新】2021年10月24日