ジョエルシュマッカ―、Joel Schumacher

R.I.P. ジョエル・シュマッカー

様々なジャンルのハリウッド映画を監督した名匠ジョエル・シュマッカ―監督がガンでの長い闘病生活の末、80歳で静かに息を引き取ったそうです。

NY生まれのジョエルは、美大卒業後、コスチューム・デザイナーとして、ハリウッドの映画産業に入り込みました。初めての作品は、ウディ・アレンの『スリーパー』(1973)その後、リチャード・プライヤー主演のコメディ映画『カー・ウオッシュ』(1976)の脚本を書き、リリー・トムリン主演『縮ゆく女』で念願の監督デビューを果たします。

当時の若者を集めた青春もの映画をブラット・パック映画と呼びましたが、その代表的な作品は、ジョン・ヒューズ監督の『ブレックファスト・クラブ』(1985)とジョエルが監督した『セント・エルモス・ファイアー』(1985)の2本と云われ、これらの出演陣を中心に当時の青春物映画というジャンルが拡張していきました。

その後、ヴァンパイア・ホラー『ロスト・ボーイ』(1987)、医療ネタを巧く組み込み臨死体験の世界を描こうと腐心したカルト・サスペンス『フラットライナーズ』(1990)、理性を失った男がしでかす暴走をマイケル・ダグラスが演じた『フォーリング・ダウン』(1993)、残念ながら夭折したブラッド・レンフロ主演でジョン・グリシャム原作の法廷サスペンス『依頼人』(1994)、大ヒットしたヴァル・キルマー版バットマン『バットマン・フォーエバー』(1995)、マシュー・マコノヒー主演、サミュエル・ジャクソン共演の『評決のとき』(1996)、コリン・ファレル主演『タイガーランド』(2000)、『フォーン・ブース』(2002)、実在のジャーナリストをケイト・ブランシェットが熱演した『ヴェロニカ・ゲリン』(2003)、ブロードウェイミュージカルの完全映画版『オペラ座の怪人』(2004)とジャンルに捉われない映画作りを続けます。

筆者は、ジョエル・シュマッカ―監督が『依頼人』でのプロモーション来日時に、テレビ東京で放送されていた映画情報番組『シネマ通信』で単独インタビューをさせていただきました。その時の印象は物腰柔らかく、優しさと神経の細やかさを感じさせる知的な受け答えで、ステレオタイプなハリウッドの映画監督とはかなり印象が違っていました。約30分間のインタビューが終わり、最後に「あなたはインタビューがお上手だ」と云われたのを今でもよく覚えています。

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最後にデヴィッド・フォスターの名曲『セント・エルモス・ファイアー』のテーマに合わせて名場面を編集した素敵なPVを見つけたので載せておきます。

アンディ・マクダウェルの美しさが際立っていますが、アンディの娘、マーガレット・クアリーが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に出演しているのですから、隔世の感があります。

今後、当サイトでもジョエルの過去の代表作をレビューしていきたいと思います。

ジョエル・シュマッカ―監督、今まで素敵な映画をありがとうございました。

どうぞ安らかにお眠りください。

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