心震わせる異色の室内劇『ザ・ホエール』
映像派の鬼才ダーレン・アロノフスキーが舞台劇を映画化!
恋人ロスのため重度の過食症となり、272キロの巨漢になってしまった男の人生の悲喜劇をブレンダン・フレイザーが好演。
ほぼ全てのシーンが室内で展開してゆく、異色のヒューマン・ドラマ。
Story:
恋人アランを亡くした喪失感から重度の過食症となり、体重272キロの巨漢になってしまったため歩行器なしでは移動することさえままならないチャーリー(ブレンダン・フレイザー)。
チャーリーはアランの妹リズ(ホン・チャウ)に日常生活を助けてもらいながら大学のオンライン講座の講師で生計を立てている。
だが当然身体の具合は悪く、しかし通院する気など毛頭無かった。
心不全の症状が悪化しており自分の死期が近いことを悟ったチャーリーは、思い残していたことを実行する。
チャーリーは8年前に家を出て行ったきり会えずにいた前妻との間にできた娘エリー(セイディー・シンク)と再会するが、父親に見捨てられたと感じているエリーは父に対して激しい感情をむき出しにする。
そしてエリーもまた学校生活やプライベートで問題を抱えていたのだった・・・。
はたして親子の絆を取り戻すことはできるのか?
Behind The Inside:
チャーリー役を見つけるまで10年が費やされた
トム・フォードからバトンタッチして監督となったダーレン・アロノフスキーは、チャーリー役をキャストするまで10年を費やしたという。
ブレンダン・フレイザーは本作で重い義肢装具を一日中装着して、辛抱強く熱演した。
昨年出品された第79回ヴェネチア国際映画祭での正式上映では6分間のスタンディング・オベーションとなり、ブレンダンは、嬉しさのあまり涙ぐんだという。
長いスランプ期間を経て、今後の俳優ブレンダン・フレイザーの第2章の活躍に大いに注目したいところである。
Under The Film:
鬼才ダーレン・アロノフスキーが新たに挑んだのはほぼ完全なる室内劇
映像派で知られるダーレン・アロノフスキー監督にとって5年ぶりの新作はフィルムではなく、初めてデジタルカメラでの撮影となった。
冒頭の部分以外は、全てチャーリーの部屋の中で話が進行する本作は、元々は舞台劇であった。
映画版も明るさの調整の難しい室内劇とあって、暗部に強いデジタル撮影としたのではないのだろうか。
Awards:
- 第95回アカデミー賞:主演男優賞・ブレンダン・フレイザー
- クリティクス・チョイス賞:主演男優賞・ブレンダン・フレイザー
『ザ・ホエール/The Whale』(2022年・アメリカ・1時間57分)
監督:
ダーレン・アロノフスキー
出演:
ブレンダン・フレイザー、セイディー・シンク、タイ・シンプキンス、ホン・チャウ、サマンサ・モートン 他
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