すべてが輝いている。「セント・エルモス・ファイアー」
普遍的な青春物語
1985年。エリート校を卒業し社会に出たばかりの仲良し7人組み。
ミュージシャンを夢見る女好きで無責任で、だが甘え上手なイケメンでなぜか憎めないビリー(ロブ・ロウ)。
思い込みが強く猪突猛進で一歩間違うとストーカーだが、一途な性格で前に進み続けるカーボ(エミリオ・エステベス)。
野心家で人間としての誠実さに少々欠けるが、仲間内では一番上手く社会を渡って行こうとしているアレック(ジャド・ネルソン)。
記者志望で真面目で誠実、生きる意味を模索している繊細な感性の持ち主のケヴィン(アンドリュー・マッカーシー)。
美人で派手好きで明るく、奔放な性格で異性にもてるが親の愛に恵まれず、真の愛情に飢えている破滅型のジュールズ(デミ・ムーア)。
アレックと同棲し始めたものの、結婚よりも建築家としてのキャリアを積むことを重視し、ロマンチストで頭も良く現状に疑問を抱いているレズリー(アリー・シーディ)。
金持ちの箱入り娘で野暮ったく、真面目でうぶだが自分とは正反対のビリーに恋しているウェンディ(メア・ウィニンガム)。
七人七様の彼らはそれぞれの性格も夢も立場も違うが仲は良く、卒業後も毎晩 “セント・エルモス・バー”に集まっていた。
共感必至の青春群像劇の名作
「永遠も短くなったものだ」
劇中のケヴィンのセリフ。
そもそも永遠というものがあるかないかと論じ出したらきりがないが、失敗ですら輝いてみえる人生のひとときをシニカルに表現している。
社会に足を踏み出したばかりの過渡期にある彼らの夢や希望、愛、友情、裏切り、悲しみ、挫折、失意、切なさ。
どれを取っても輝いている。
映画の中の彼らと同年代であれば時代は違っても大いに共感し、通り過ぎた年代であれば頷きながら、切なさと共にその輝きに目を細めるだろう。
友達同士なのが不思議なぐらいキャラはバラバラの7人組だが、だからこそ彼らの中の誰かに、もしくはその行動に自分や近しい誰かを重ねずにはいられない。
それが現在のことであっても、過去のことであっても、くすりと笑ったり、やめておけばいいのにと突っ込んだり、でも好きなんだよねと切なくなったり。
ひとときの短い“永遠”を思う存分味わえる名作です。
『セント・エルモス・ファイアー』(1985年・アメリカ・1時間51分)
監督:ジョエル・シュマッカー
出演:エミリオ・エステベス、ロブ・ロウ、アンドリュー・マッカーシー、デミ・ムーア、ジャド・ネルソン、アリー・シーディ、メア・ウィニンガム、アンディ・マクダウェル
© 1985 Columbia Pictures
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