VOIDセレクト クリスマスに観たい映画3選
クリスマスがテーマというよりもクリスマスに引っ掛けたユニークな内容の映画3作品を紹介!
クリスマスの夜に起きるハラハラドキドキの痛快アクション・パックの金字塔的作品、女性のことは大好きだが、子供は大の苦手という大人になり切れない無職の独身男と少年との絆を描いたハートウォーミング・ドラマ、そして、暗澹たる気分になること請け合いの戦慄の未来のクリスマスを描いた伝説のSF作品とVOID編集部がセレクト‼
『ダイハード』(1989年)
監督:
ジョン・マクティアナン
出演:
ブルース・ウィリス、アラン・リックマン、アレクサンダー・ゴドノフ、ボニー・べデリア
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クリスマス・イヴに世界で一番ツイてない男といったら、ブルース・ウィリス演じる刑事ジョン・マクレーン、別居婚状態の奥さんに会いにニューヨークからロサンゼルスへイヴに舞い降りたジョンは、妻が勤める超高層ビルのパーティ会場へと行くのだが、ビルはまるごとテロリストによって占拠され、妻も人質になっていた‼
様々な知恵と工夫でたった一人で大勢の敵に立ち向かう様は、観たらスカッとするアクション大作の金字塔を打ち立てました。
ラストでかかるヴォーン・モンローが歌う往年のクリスマス・ソング「レット・イット・スノウ」は、本作で再びヒットチューンにもなりました。
「レット・イット・スノウ」は、『ダイ・ハード2』のエンドでもお約束のようにしてかかります。
『アバウト・ア・ボーイ』(2002年)
監督:
クリス・ワイツ、 ポール・ワイツ
出演:
ヒュー・グラント、トニ・コレット、レイチェル・ワイズ、ニコラス・ホルト
ウィル(ヒュー・グラント)は、父親が作曲した大ヒット・クリスマス・ソング「サンタのステキなソリ」の印税収入のお陰で無職で悠々自適な一人暮らしをしていた。
女性と交際しても保って2か月という使い捨て恋愛を楽しんでいたが、ある時、新たな出会いを求めて、自分には子供がいると嘘をついてシングルマザーの会に入り込み、女性漁りをしていたところ、変り者の少年マーカス(ニコラス・ホルト)に気に入られてしまう。
マーカスの母親フィオナ(トニ・コレット)は、情緒不安定で心配するマーカスは、ウィルに相手をしてもらいたがったが、当のウィルは逃げ出してしまう。
人生を適当に生きている無職の遊び人ウィルと母が心配な少年マーカスとの世代を超えた奇妙な友情が様々な出来事を通して育まれ、二人は共に成長してゆく。
ジョン・キューサック主演のレコードショップを舞台にした傑作音楽青春映画でHuluで今年ドラマ化もされたばかりの小説『ハイ・フィデリティ』の原作者、ニック・ホーンビィの同名小説の映画化をワイツ兄弟が監督している。
今や若手俳優のホープの一人、ニコラス・ホルトの子役時代の熱演が楽しめる。
そして、とても尊敬すらできない体たらくな独身男性を演じるヒュー・グラントの名演には妙に共感を覚える。
心豊かになるウィットに富み、人と人との絆の大切さをさりげなく伝えてくれる佳作。
『未来世紀ブラジル』(1985年)
監督:
テリー・ギリアム
出演:
ジョナサン・プライス、ロバート・デ・ニーロ、マイケル・ペイリン、キム・グライスト、ボブ・ホスキンス、キャサリン・ヘルモンド、デリック・オコナ―、イアン・ホルム
20世紀のどこかの国、爆弾テロが頻発し、情報省により厳しく統括された管理社会
クリスマスの晩、テロリストによる爆弾がさく裂する。
情報省のタイプライター用紙に打ち込まれた容疑者の名の上に虫が墜ちて印字が滲んで、名前がタトルからバトルになったことで無実の男が捕らえられる。
情報省記録局に勤めるサム(ジョナサン・プライス)は、整形に明け暮れる母(キャサリン・ヘルモンド)に辟易としながら、毎夜のように夢の中で出会う美女とそっくりの女性ジルと現実に出くわし、彼女に夢中になっていくが、ジルはバトルの誤認逮捕を目撃したことから抗議をしたために第3級犯罪者として、政府から目を付けられていた。
サムは、ジルに夢中になるあまり、職務怠慢となり、機密情報の持ち出し、サボタージュ等のため、テロリストとして、追われる立場となってしまう。
そして混乱の中、ジルと行動を共にするのだが….
ジョージ・オーウェルの小説のようなディストピア的世界観と監督のテリー・ギリアムがメンバーであるイギリスのコメディ・グループ、モンティ・パイソンで描かれたようなブラック・コメディ風味で全体が覆われている。
本作は美術を含む視覚効果に眼を奪われる。画面狭しと設置されているダクトの意味するもの、夢の中に出てくる怪物、交通手段である特装車のような風変りな車両、形状はタイプライターのコンピューターなど、スチームパンクのような様相となっている。
まるでカフカの「審判」を思わせる、悪夢のような物語であるが、製作中もスタジオと監督のギリアムが編集のことで敵対し、様々な編集バージョンが存在する稀有な映画となっている。
製作サイドとテリー・ギリアムの闘いは、本として記されている。