『私たちの青春、台湾』「ひまわり運動」を軸に台湾の理想と民主主義の現実、若者たちの青春を映しだす
政治運動にかける若者達の熱意と挫折。間違いながらも前を向き、突き進んでゆく姿に心打たれるドキュメンタリー。
監督のフー・ユーはマレーシア華僑とインドネシア華僑の両親の元、台北で生を受けた。
国立台南芸術大学音像記録研究所を卒業しドキュメンタリー映画制作に携わる中、台湾学生運動の中心人物である大学生チェン・ウェイティンと、台湾の社会運動に参加する人気ブロガーの中国人留学生・ツァイ・ボーイーと出会う。
やがてチェン・ウェイティンはリン・フェイファンと共に立法院に突入し、ひまわり運動のリーダーになった。
台湾で“民主”がどのように行われているのかを綴ったツァイ・ボーイーのブログは書籍化され、大陸でも刊行されるほど人気を集めた。
若者たちが突き進み、革命を起こしていく姿にフー・ユーは「社会運動が世界を変えるかもしれない」と期待するがその想いとは裏腹に「ひまわり運動」後、彼らの運命には翳りが生じていく。
「ひまわり運動」で人望を集めたチェン・ウェイティンは立法院補欠選挙に出馬したが過去のスキャンダルにより撤退。
ツァイ・ボーイーは大学自治会選に出馬したが、国籍を理由に不当な扱いを受け、正当な選挙すらできずに敗北を喫する。
それはフー・ユーが求めていた未来ではなかったが、その失意は彼女自身が自己と向き合うきっかけとなっていくのだった——
台湾、香港、中国。
異なる視点を持つ若者たちの情熱と、もろくも魅力的な姿を真摯に記録し、“民主”の理想と困難を映し出したドキュメンタリー。
わたしの青春、台湾
フー・ユー監督が、困難と共に歩む台湾の民主化と自身の人生を振り返る。映画の語り手である監督の視点を深く知ることのできる一冊。
Must Point:
フー・ユー・監督は運動を外側から撮るのではなく、チェン・ウェイティンやツァイ・ボーイーらに焦点を当て記録することによって「ひまわり運動」の本質をより正確に伝えることに成功している。
台湾のアカデミー賞と呼ばれる第55回金馬奨最優秀ドキュメンタリー映画賞および、台北映画祭最優秀ドキュメンタリー映画賞を受賞。
Awards:
- 第55回金馬奨最優秀ドキュメンタリー映画賞
- 台北映画祭最優秀ドキュメンタリー映画賞
『私たちの青春、台湾』(2017 年・台湾・1時間56分)
監督:
傅楡(フー・ユー)
出演:
陳為廷(チェン・ウェイティン)、蔡博芸(ツァイ・ボーイー)、林飛帆(リン・フェイファン)
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