最恐に無敵すぎる『貴公子』とは、一体何者?
病床の母を想う貧しきストリート・ボクサーの青年をつけ狙う謎の男、貴公子は果たして、天使か、それとも悪魔か?
銃撃戦、接近格闘、カーチェイス、全てにおいて、別次元のアクションを展開する映画監督パク・フンジョンの最新作は、哀しい運命に飲み込まれ巨大財閥の遺産相続争いに巻き込まれた一人の青年ボクサーを追う激しい争奪戦。
ラストまで明かされない驚愕すべき貴公子の真の狙いとは?
Story:
フィリピン、病床のフィリピン人の母を支えるため地下格闘技で日銭を稼ぐコピノ(韓国人の父とフィリピン人の母との間に生まれた子供、2国の頭文字をとって”KOPINO”と現地では呼ばれる)のストリート・ボクサーの青年マルコ(カン・テジュ)。
行方知れずの韓国人の父親を探し出して、母の手術代をなんとか捻出したいと考えていたが、探すあてなどなかった。
ある日、彼の元に韓国にいる父親に依頼されたと称する弁護士が現れ、母の病状を気にかけるマルコは急遽、韓国へと向かうことに・・・。
韓国へのフライトの機内で謎の笑みを浮かべた不気味な男、貴公子(キム・ソンホ)と邂逅するマルコ。
そして、貴公子は韓国へと降り立ったマルコと弁護士の一行を追撃する。
学術系巨大財閥の御曹司ハン(キム・ガンウ)、謎めいた凄腕の女殺し屋ユンジュ(コ・アラ)、そして謎の男、貴公子が三つ巴となって、マルコを確保しようと激しい争奪戦となる。
それぞれの真の目的とは・・・?
Behind The Inside:
“凶暴なのにユーモラスで知的” 貴公子のキャラクター設定の斬新さ
キム・ソンホが演じた貴公子は誰もが心惹かれるであろうウイットに富んだ口調とドライビング・テクニック、ガンさばき、そのどれもが圧倒的な腕と身体能力を兼ね備え、しかも彼の無敵ぶりは、まるで韓国版ジョン・ウイックを思わせるほどの殺人マシーンっぷりである。
貴公子を演じたキム・ソンホは、元々は舞台俳優として活躍し、映像作品への出演は主にTVドラマなどで約2年ほどの休養を経て、パク・フンジョン監督の最新作で堂々たる映画初主演となった。
演技に対する評価も37歳にして映画初主演となった本作で大鐘賞映画祭、釜日映画賞で新人男優賞を見事受賞し、今後のスクリーンでの活躍が最も期待されている韓国人スターである。
Under The Film:
韓国ノワールの新しき世界、パク・フンジョン
ストーリーの構成力、キャストの人物造形、印象的なセリフ回し、そして、異次元のアクション演出、とその多元的な能力がパク・フンジョン監督の持ち味であるが、キャリアのスタートは脚本家であった。
2010年にリュ・スンワン監督作、映画『生き残るための 3 つの取引』、キム・ジウン監督作、映画『悪魔を見た』の2本の脚本を執筆している。ストーリー構成術の巧さは、この2本でも既に証明されていた。
キム・ジウン監督による血も凍るパワフルなリベンジ・スリラー『悪魔を見た』は、ハリウッド・リメイクが企画製作進行中であり、パク・フンジョン監督はハリウッド版の脚本にも関わっている。
監督最新作は、チャ・スンウォン主演、キム・ソンホとキム・ガンウも続投している映画『暴君(仮題)/Tyrant』。
ストーリーは、秘密のプログラム”タイラント・プロジェクト”を巡り、韓国とアメリカの秘密工作員が交錯するSFアクション・スリラー。
パク・フンジョン監督による韓国ノワールは、新しき世界を提示し、ハードルを越え続ける。
どこまで飛翔し続けるのか、作り出す作品を全て見続けたい2020年代の韓国を代表する映像作家となった。
『貴公子/The Childe』(2023年・韓国・1時間58分)
監督:パク・フンジョン
出演:キム・ソンホ、カン・テジュ、キム・ガンウ、コ・アラ、チョン・ラエル、他
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