イタリアの名門フェラーリの創業者エンツォの苦難の日々『フェラーリ』
当時、一世を風靡した人気TVドラマ『特捜刑事マイアミ・バイス』シリーズで知られるフェラーリ狂のマイケル・マン監督。
マン監督、長年の夢の映画企画がアダム・ドライバー主演で遂に完成!
創業から10年、モータースポーツへの過剰な投資や労使紛争に巻き込まれたことから経営が悪化し倒産寸前まで追い込まれた自動車製造メーカー、フェラーリ。
エンツォ・フェラーリ(アダム・ドライバー)が打って出た起死回生の策は、イタリアを縦走する耐久レース「ミッレミリア」に出場し、勝利することだった!
Story:
1957年の夏、元レースカー・ドライバーで自動車メーカーを率いているエンツォ・フェラーリ(アダム・ドライバー)は、苦境に立たされていた。
10年前に妻ラウラ(ペネロペ・クルス)と共に自動車メーカーを立ち上げ高い名声を勝ち得てきたが、過剰なモータースポーツへの投資や労使紛争に巻き込まれ、倒産寸前であったのだ。
私生活でも、才能あふれる技術者であった一人息子のアルフレードを病気で失い、愛人のリナ・ラルディ(シェイリーン・ウッドリー)との間に生まれた息子ピエロのことでエンツォとラウラの夫婦関係は冷え切っていた。
公私共に危機を迎えたエンツォは、イタリアを縦断する壮大な耐久レースの名門「ミッレミリア」に、フェラーリ・ブランドの起死回生のチャンスを賭けて挑むことになる。
Behind The Inside:
フェラーリ狂で知られるマイケル・マン監督、宿願の映画企画
マイケル・マン監督といえば、映画界で成功する前にその名を轟かせた作品がある。
風俗取締班の潜入捜査官のド派手な活躍を描き、当時、マイアミ・ブームを巻き起こすキッカケともなった人気TVドラマ『特捜刑事マイアミ・バイス』だ。
ドン・ジョンソン演じるクロケットとフィリップ・マイケル・トーマスが演じる相棒のタブスが遊び人風の衣装を身にまとい、アンダーカバー捜査に挑むこの人気ドラマは、車が3人目のメイン・キャストのような存在であった。
クロケットは、バイスが犯罪者から没収した名車フェラーリ・デイトナ・スパイダーを駆り、ドラマの中でデイトナがスティンガー・ミサイルで撃破された後のシーズン3以降は、マイアミ・バイス史上2代目のフェラーリ・テスタロッサへと愛車が更にグレードアップされた。
当時からプライベートでもフェラーリ308GTBを駆るマイケル・マンは、熱狂的なフェラーリ・ファンであったが、フェラーリのトレードマークカラーである赤は何故か採用しなかった。
その理由は、マン監督が赤が大嫌いだったためだという。
そのため劇用車のデイトナは黒、テスタロッサは白、監督自身の愛車の308GBTも黒であった。
そして、ドラマの中での色は事前に用意されたカラーチャートに沿って、合わない色はハネられるか塗り直しされ、画面のトーナリティを全て決められていったという。
当時、マイアミの市中で流行り始めていたピンク・パステル調にトーンを合わせ、黒と白のフェラーリが疾走するビジュアルは鮮烈な印象を残した。
TVドラマの枠を軽々と超えた凄まじいまでのリアリティの追求とビジュアルとサウンド面でもその美的センスに執念のようなこだわりを見せるマイケル・マン監督。
20年以上もの間、エンツォ・フェラーリの自伝映画を描く情熱を諦めずに抱き続け、主人公を演じる俳優も当初はロバート・デ・ニーロだったがクリスチャン・ベールに変わり、変幻自在に身体を変えるベールが時間的な理由から役作りを断念したことによりヒュー・ジャックマンにオファーが行き、さらにその後、アダム・ドライバーがエンツォ役を演じることに落ち着き、フェラーリの本拠地イタリア、モデナを中心に急ピッチで映画製作が進み、本作は無事完成した。
Awards:
- 第80回ヴェネチア国際映画祭:コンペティション部門正式出品作
『フェラーリ/Ferrari』(2023年・アメリカ・イギリス・イタリア・中国・2時間10分)
監督:
マイケル・マン
出演:
アダム・ドライバー、ペネロペ・クルス、シェイリーン・ウッドリー、サラ・ガドン、パトリック・デンプシー、ジャック・オコンネル、ヴァレンティーナ・ベル、ガブリエル・レオン、ブレット・スムルツ、トンマーゾ・バシリ 他
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