BLM問題が叫ばれる今、絶対に観るべき映画。「ドゥ・ザ・ライト・シング」
”Black Lives Matter”の問題を正面から扱った映画として『ドゥ・ザ・ライト・シング』が再び注目を集めている。
スパイク・リー オフィシャル インスタグラムより『ドゥ・ザ・ライト・シング』のワンシーン
Black lives matter
アフリカ系アメリカ人男性のジョージ・フロイド氏が白人警官に殺害されたことを契機に、アメリカ中で“Black Lives Matter”の運動が激化していることは周知の通り。
その動きはまたたく間に世界各地に広まり、日本でも同様のデモが行われるなど、その影響は計り知れない。
そんな中、まさにこの問題を正面から扱った映画として『ドゥ・ザ・ライト・シング』が再び注目を集めている。
スパイク・リー オフィシャル インスタグラムより
Story:
人種のるつぼ、ニューヨークのブルックリンで暮らすアフリカ系アメリカ人のムーキーはイタリア系アメリカ人のサルが家族で経営するピザ屋で配達員をしている。
どちらかと言うと仕事ぶりは不真面目だが、サルやその息子たちとも言いたいことは遠慮なく言い合い、悪くない関係性を築いている。
ブルックリンの中でもアフリカ系アメリカ人がほとんどを占める地区で長年ピザ屋を経営するサルは自分の店と、ピザを毎日食べに来る近所の住民らに愛着を持っており、息子達とムーキーにもここでずっと働くようにと持ちかけたりもする。
だが一方、働いてはいてもどこかふらふらしているムーキーは一児をもうけた魅力的な彼女には最低男と罵られ、周囲は定職に就けず井戸端会議で日々を過ごす人達が多数を占めており、鬱屈した毎日を過ごしている。
そんなある日、ちょっとした言い合いから事件が起こってしまう。
“LOVE and HATE” “Do the right thing”
スパイク・リーはアフリカ系アメリカ人が直面する差別や偏見を真正面から捉え、かつ彼らを美化せず描くことによって、この問題の根深さを表現する。
表面的に見ると、毎日働きもせず日々を怠惰に浪費しているかのように見える彼らの生活は何によって生み出されたものなのか。
特別な才能や運に恵まれてでもいなければそこから抜け出せない社会の構造や、長きに渡って蓄積された捻れた差別の感情。
それぞれが持つ価値観の違い、生活の違い、教育の違い、正と悪の判断の違い。
人と人とが“違う”ということ自体は、当然のことであり、自然なことでもある。
だがその中にあっても、許されないことはある。
それぞれが“違う”ということを前提としながら、「愛と憎しみの間で、道徳的に正しい選択をしよう。正しいことをやろう(Let’s do the right thing)」
表面的に見ると、毎日働きもせず日々を怠惰に浪費しているかのように見える彼らの生活は何によって生み出されたものなのか。
特別な才能や運に恵まれてでもいなければそこから抜け出せない社会の構造や、長きに渡って蓄積された捻れた差別の感情。
それぞれが持つ価値観の違い、生活の違い、教育の違い、正と悪の判断の違い。
Awards:
- アメリカ・ロサンゼルス批評家協会賞・監督賞(スパイク・リー)、助演男優賞(ダニー・アイエロ)楽曲賞(ウィリアム・リー)
- アメリカ・NY批評家賞協会賞・撮影賞(アーネスト・デッカーソン)
『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989年・アメリカ・120分)
監督:スパイク・リー
出演:スパイク・リー、ダニー・アイエロ、サミュエル・L・ジャクソン、オジー・デイヴィス、ルビー・ディー、リチャード・エドソン、ジャンカルロ・エスポジート、ビル・ナン、ジョン・タトゥーロ、ロージー・ペレス
© 1989 Universal Pictures 40 Acres & A Mule Filmworks
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