『マッシブ・タレント』を観る前に絶対観ないとヤバいニック・ケイジ主演作3本!
運に見放されたニコラス・ケイジが100万ドルのカネ欲しさに向かった先は、スペインの大富豪のお屋敷。
だがニックの大ファンを自称する大富豪が実は犯罪組織の大ボスだったから、さぁ大変!
面倒なことには巻き込まれたくないニックだったが、マブダチとなった大ボスとまるでバディものアクション映画のような地獄の展開に・・・。
あっと驚くスターのカメオ出演も用意されているニック節全開の超痛快アクション・コメディ『マッシブ・タレント』。
劇中、ニック自らオマージュを捧げている過去の輝かしい代表作を知れば本作をマシマシで楽しめるのは間違いない!
落ち目になっても25億円もの財産があったニック、だがその特異な浪費癖から金欠となっていく
巨匠フランシス・フォード・コッポラを叔父に持ち、芸能一族コッポラ・ファミリーの血筋の一人である本名ニコラス・キム・コッポラ改め、芸名ニコラス・ケイジ。
かのビバリー・ヒルズ・ハイの高校生だったが、17歳で退学し、芸能界へ。
『初体験/リッジモント・ハイ』(1982年)に出演するもほとんどの出演シーンをカットされ、LAの映画館でポップコーン売りをしながら、スターへの道を思い描いていたという。
なんとかして役を掴もうと当時、映画監督として時の人になっていた叔父のフランシス・フォード・コッポラの監督作『ランブル・フィッシュ』(1983年)に出演したことから役者人生にようやくエンジンがかかる。
以降は話題作に続々と出演し、鬼才デヴィッド・リンチの『ワイルド・アット・ハート』(1990年)が第43回カンヌ国際映画祭・パルム・ドールを受賞し、ニック自身も一躍脚光を浴びる。
そして、24万ドルの出演料で出たマイク・フィギス監督作『リービング・ラスベガス』(1995年)で見事、第68回アカデミー賞・主演男優賞に輝き、堂々たるハリウッド・スター街道を爆走しだす。
それからのニックのギャラは、ウナギ登りで400万ドルで出演したマイケル・ベイ監督の出世作『ザ・ロック』(1996年)は大ヒット!
出演料600万ドルで香港ノワールの名匠ジョン・ウー監督による『フェイス/オフ』(1997年)にジョン・トラボルタとともにダブル主演し、アクション・スターのイメージを決定的にしたニックはドル箱俳優の地位を完全に築き上げる。
そんな順風満帆なハリウッド・スター人生を送ってきたニックだったが、誰にでもあるように盛りを過ぎれば主演映画がコケはじめ、運気がダダ下がってしまった。
現実生活でも度重なる結婚と離婚、銀行に預けるくらいならと世界中の不動産を買い続け、役作りや作品執筆と称して、ニューオリンズの曰くつきの事故物件を購入したり、多岐にわたる奇妙なコレクション癖などが原因で借金まみれとなり、不動産売却を繰り返し、挽回すべく低予算映画に出演し続け、見事、借金をチャラにした末に解脱したかのようなニックが出会った脚本は、なんとニック自らドン底状態のニコラス・ケイジを演じるというあまりに自虐的なギャグ・アクション映画『マッシブ・タレント』。
本作は、コミカルなニコラス・ケイジが炸裂するコーエン兄弟による痛快コメディ『赤ちゃん泥棒』(1987年)や『ハネムーン・イン・ベガス』(1992年)といった青年期に作られたコメディ映画を彷彿とさせる。
ニックにとっては久しぶりのコメディ映画となり、コメディができることをハリウッドからも忘れ去られたと感じていた本人も大乗り気で出演したそうだ。
近年のニックは、『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』(2018年)『カラー・アウト・オブ・スペース -遭遇-』(2020年)『PIG/ピッグ』(2021年)『ウィリーズ・ワンダーランド』(2021年)と、ここのところ魅力的な低予算映画に出演が続いており、トップ・スターとしてまだまだやらかしてくれそうなムードが充満している。
世界中で予想外のスマッシュ・ヒットをかました最新作『マッシブ・タレント』は、今後のニコラス・ケイジのキャリアをリセットしただけでなく、新たな地平線へとロケット・スタートさせた打ち上げ花火だったのかもしれない。
そんなニック・ケイジの今を観る前に押さえておきたい栄光の3本をリストアップ。
エンド・ロールには輝かしいニックの名作の数々が
104本目の出演となった映画『マッシブ・タレント』のエンド・ロールには、以下の映画タイトルがクレジットされている。
アクション映画あり、ラブ・ストーリー、コメディ作品、ヒューマン・ドラマと、ニコラス・ケイジの演技の守備範囲の幅広さがよく分かるリストとなっている。これらの作品が凝縮されたエッセンスが本作のあちらこちらに散らばっているのだ。
- 『ヴァレー・ガール』(1983年)
- 『ペギー・スーの結婚』(1986年)
- 『月の輝く夜に』(1987年)
- 『バンパイア・キッス』(1988年)
- 『ワイルド・アット・ハート』(1990年)
- 『あなたに降る夢』(1994年)
- 『不機嫌な赤いバラ』(1994年)
- 『リービング・ラスベガス』(1995年)
- 『ザ・ロック』(1996年)
- 『フェイス/オフ』(1997年)
- 『コン・エアー』(1997年)
- 『スネーク・アイズ』(1998年)
- 『ナショナル・トレジャー』(2004年)
- 『ゴーストライダー』(2007年)
- 『バンコック・デンジャラス』(2008年)
- 『ノウイング』(2009年)
- 『バッド・ルーテナント』(2009年)
- 『ドライブ・アングリー3D』(2011年)
- 『ゲット・バック』(2012年)
- 『コード211』(2018年)
『マッシブ・タレント』の前に絶対観ないとヤバいニック・ケイジ主演作は、この3本!
Story:
セイラー(ニコラス・ケイジ)とルーラ(ローラ・ダーン)は、ラブラブ・カップルだが、セイラーのことが気に入らないルーラの母マリエッタ(ダイアン・ラッド)は、刺客を差し向ける。
セイラーは殺し屋を返り討ちにして刑務所に収監される。
セイラーの出所後、二人はカリフォルニアを目指して逃避行の旅に出るが、母マリエッタの娘への異常な執着心は変わらず、私立探偵や新たな刺客が追跡を開始するのだった。
Under The Film:
カルトな作風で知られ、現代アーティストでもある映像作家デイヴィッド・リンチの初期の代表作である傑作『ワイルド・アット・ハート』。
『マッシブ・タレント』の劇中でニックの分身のような幻影が登場するが、どことなくセイラーを思わせる雰囲気を漂わせている。
もしもニックの分身を登場させるとしたら、あの強烈なインパクトの青年セイラー一択ということなのかも。
『ワイルド・アット・ハート』(1990年)
監督:
デイヴィッド・リンチ
出演:
ニコラス・ケイジ、ローラ・ダーン、ダイアン・ラッド、ウィレム・デフォー、イザベラ・ロッセリーニ、ハリー・ディーン・スタントン、J・Eフリーマン 他
Story:
激しい銃撃戦で昏睡状態となった残虐なテロリスト、キャスター・トロイ(ニコラス・ケイジ)はロサンゼルス市を丸ごと壊滅させる時限式細菌兵器爆弾を仕掛けていた。
爆弾の秘密を知っているトロイの弟ポラックス(アレッサンドロ・ニボーラ)から設置場所を探るため、FBI捜査官ショーン・アーチャー(ジョン・トラボルタ)は、最新技術を使って自分の顔を剥ぎ、トロイの顔を移植してポラックスに接近する極秘任務に就く。
ところがトロイが目覚め、アーチャーの顔を移植し、極秘任務の関係者を抹殺した後、爆弾を自ら解除し、FBIでの地位を手にいれるとアーチャーの妻、そして人生全てを奪ってしまう・・・。
必死に脱獄を企てるアーチャーは、名誉と人生、そして元の顔を取り戻すため、宿敵トロイとの一騎打ちに臨むのだった。
Under The Film:
ニコラス・ケイジにとって最も有名な代表作にして、壮絶なガン・ファイトが展開する本作は、香港ノワールの巨匠ジョン・ウーが培ってきたもの全てが注ぎ込まれたガン・アクション映画のマスター・ピースである。
ジョン・ウー映画のアイコンともなっている2丁拳銃を使ったガン・アクションは、ニック演じる悪漢トロイに特製の黄金銃を持たせたことで映画史に残るガン・ファイトを作り上げた。
『マッシブ・タレント』では、グロテスクなキャスター・トロイの蝋人形が登場し、ニック自ら黄金の2丁拳銃さばきも披露する。
『フェイス/オフ』(1997年)
監督:
ジョン・ウー
出演:
ジョン・トラボルタ、ニコラス・ケイジ、ジョアン・アレン、ジーナ・ガーション、アレッサンドロ・ニボーラ 他
Story:
60秒でいかなる車でも盗み出す超高級車専門の車泥棒メンフィス(ニコラス・ケイジ)は、弟の命を救うため、伝説の仲間たちと24時間以内に50台の超高級車を盗み出す途方もない窃盗プロジェクトを開始する。
Under The Film:
ニック・ケイジ映画史上、豪華な高級車が派手に爆走するカーアクション映画といえば、本作しかない。
カーアクション映画の代名詞ともなっている『ワイスピ』が登場する1年前に製作された元祖的作品。
『マッシブ・タレント』のカースタント・シーンは、『60セカンズ』へのオマージュそのものである。
『60セカンズ』(2000年)
監督:
ドミニク・セナ
出演:
ニコラス・ケイジ、アンジェリーナ・ジョリー 、ロバート・デュバル、ジョバンニ・リビージ 、デルロイ・リンドー 、ウィル・パットン 他
『マッシブ・タレント/The Unbearable Weight of Massive Talent』(2022年・アメリカ・1時間45分)
監督:
トム・ゴーミカン
出演:
ニコラス・ケイジ、ペドロ・パスカル、ティファニー・ハディッシュ、シャロン・ホーガン、パコ・レオン 、ニール・パトリック・ハリス、リリー・モー・シーン、アレッサンドラ・マストロナルディ、ジェイコブ・スキピオ、カトリン・ヴァニュコヴァ、デミ・ムーア、アンナ・マクドナルド 他
© 2022 LIONS GATE ENT. INC. ALL RIGHTS RESERVED.