Birdy、バーディ、アラン・パーカー、マシュー・モディーン

「バーディ」無垢なこころを翼に乗せて

鳥になりたい青年とハイスクールの同級生の友情物語

バーディ(マシュー・モディーン)は無類の鳥好きで鳥になることを夢見る一風変わった青年。
たまたま出会った高校の同級生アル(ニコラス・ケイジ)も最初の頃はバーディをおかしな奴だと思っていたが、徐々にバーディのひたむきさ、純粋さに根負けし行動を共にするようになる。
そして二人で中学生かと思うようなバカなことをしでかしては家族を心配させつつ、友情を育んでいくのだった。

友情の復活とこころの再生

物語は、そんな二人がそれぞれに傷を負いベトナムから帰還したところから始まる。
アルは顔面をひどく損傷し、バーディは精神に深い傷を負ってアルとは別の軍の精神病院に収容されていた。アルはバーディが収容されている精神病院の軍医少佐ワイス(ジョン・ハーキンス)に呼び出され、バーディの治療に協力するよう要請される。

ベトナムへの出征以来、初めて再会したバーディはすっかり心を閉ざし、誰とも一言も話さず、アルですら目を合わせようともしない状態になっていた。
このままではバーディは一生病院で過ごすことになると危惧したアルは、楽しかった頃の二人の思い出を語り、バーディの心を開こうと苦心する。

ベトナムでの恐怖と苦痛が悪夢となって毎夜苦しんでいるアルと、鳥になりたいと本気で願っていた無垢な心の持ち主のバーディが戦争で受けた傷は計り知れない。

本作は、それぞれに傷を負った彼らが友情を確認し、再生する物語である。

自分の殻に閉じこもり、人生を停止してしまったバーディの姿は絵画のような静けさで描かれるのに対して、彼の内なる意識の飛翔は自由自在に飛び回る鳥の視点で活写され、今見ても圧巻の長回し映像となっている。

若者の静と動を見事に描き出した名匠、故アラン・パーカー監督に賛辞を贈りたい。

最後まで目が離せない、そして観終わった後も今後の二人に想いを馳せてしまう本作のメインキャストは、純粋で無垢な主人公バーディを美しく表情豊かな瞳で繊細に演じたマシュー・モディーン、生命力溢れるやんちゃで兄貴肌の青年を若い頃から抜群の演技力で表現したニコラス・ケイジ。

どこまでも純粋なバーディを誰もが愛しく、微笑ましく思わずにはいられないだろう。
それはきっと、バーディは誰の心の中にもいる、無垢なこころのかけらだからかもしれない。

© 1984 TRI-STAR PICTURES All Rights Reserved

『バーディ』予告編


Awards:

  • カンヌ国際映画祭 審査員特別グランプリ
  • ナショナル・ボード・オブ・レビュー トップテンフィルムズ

『バーディ』(1984年・アメリカ・2時間)
監督:アラン・パーカー
出演:マシュー・モディーン、カレン・ヤング、ブルーノ・カービー、ジョン・ハーキンス、ニコラス・ケイジ
© 1984 TRI-STAR PICTURES All Rights Reserved


『バーディ』は以下のサイトでご覧になれます。


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