幼い息子を失った女性が失意の暗闇から起ち上がる、愛と再生の物語『おもかげ』
最愛の息子を失った時から止まっていた時間が動き出す
10年前、助けを求める電話を最後に6歳の最愛の息子を失ってしまったエリン(マルタ・ニエト)。
失意のまま、息子が行方不明となったビーチで働いていたエリンは、息子の面影を持つフランス人の少年ジャン(ジュール・ポリエ)と出会う。
ジャンはエレナを慕い度々彼女の元を訪れるようになるが、それはエリンの恋人ヨセバ(アレックス・ブレンデミュール)やジャンの母親レア(アンヌ・コンシニ)など、彼らの周囲の人々を困惑させ、混乱に導くものだった。。
息子を失い、時の流れから取り残されたまま10年の歳月を過ごしてきた女性の、暗闇から光を見出し、希望から再生への一歩を踏み出す物語。
Must Point:
冒頭の10年前のシーンは2019年にアカデミー賞にノミネートされた短編映画。
それをそのまま長編映画の冒頭として織り込むという実に大胆な手法で製作されている。
平和な日常からあっという間に緊迫した状況に追い込まれていく主人公・エリンの姿は生々しく、痛々しい。
圧倒的な演技力と繊細な表現力を併せ持つマルタ・ニエトは本作で第76回 ヴェネチア映画祭 オリゾンティ部門 女優賞など、数多の賞を見事受賞している。
短編から長編へと変貌を遂げた本作は、天候の移り変わりや美しい海辺の風景と登場人物の心象風景をリンクさせることによって新たな命を吹き込まれ、冒頭からは予測し難い結末へと向かっていく。
それは、物語の中の海のように観た者の心の中にとりどりのさざなみを起こすものとなっている。
公式サイトでは10/22日までの期間限定で物語の始まりとなった短編映画を公開中。緊迫の18分をぜひご覧ください。
Awards:
- 第76回 ヴェネチア映画祭 オリゾンティ部門 女優賞
- サン・ジョルディ賞 主演女優賞
- セビリア・ヨーロッパ映画祭 主演女優賞
『おもかげ』(2019年・スペイン・フランス・2時間9分)
監督:ロドリゴ・ソロゴイェン
出演:マルタ・ニエト、ジュール・ポリエ、アレックス・ブレンデミュール、アンヌ・コンシニ
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