次世代トップ・スター、ウー・レイ主演!風光明媚な西湖を舞台に翻弄される家族の姿を描く『西湖畔に生きる』
現代の山水絵巻と称されたデビュー作『春江水暖〜しゅんこうすいだん』(2019年)で世界を感動させた中国新世代の映像作家グー・シャオガンの長編第2作目。
あのデビュー作の終わりで”End of Volume One”とクレジットが現れ、この現代の絵巻物はここで終わりではないのだと大いに驚かせてくれたあの映画の続きは作られていた・・・。
本作は、監督の故郷で撮影した1作目『Dwelling in the Fuchun Mountains(英題)』に続く作品として、ワーキング・タイトルは1作目のタイトルに2を付けた続編的位置付け作品として撮影が進んでいた。
「1作目の続きはあるのか?」と、ことあるごとに訊かれ続けてきたというグー・シャオガン監督の2作目となる本作は、前作のロケ地、富春江の近くにある杭州市の中心部にある美しい景観で形成される西湖という湖沿岸が舞台となり、前回とは全く違う家族が登場し、現代的なトピックを織り交ぜた物語となった。
Story:
中国緑茶の産地として有名な杭州市の中心に位置する豊かな自然に育まれた風光明媚な西湖の沿岸。
行方不明の父を探して西湖周辺へとやってきたムーラン(ウー・レイ)は、こともあろうに不正を働く詐欺集団の仲間に誤ってなってしまった母、タファ(ジャン・チンチン)を組織から救い出さなければならなくなる。
大切な両親のために決死の覚悟で奔走する息子の奮闘の日々が始まる。
Behind The Inside:
大学では希望したアニメと漫画のコースには入れず、服飾を学んだ監督グー・シャオガン
初めは映画には興味がなく、大学ではアニメと漫画のコースを希望したが入れなかったため、服飾科を専攻したというグー・シャオガンは、のちに映画に目覚め、北京電影学院社会人コースを聴講、ドキュメンタリーや短編映画制作の後、初の長編作品に挑む。
演者は素人にお願いし、個人ローンを組んで製作費を一部負担し、2年間をかけ、故郷を舞台にした長編デビュー作『春江水暖〜しゅんこうすいだん』(2019年)を完成させた。
これからも故郷、杭州市を舞台に映画を作り続けて行くのか? どんな物語を奏でてゆくのか?期待は膨らむばかりだが、”今の作品が一つ前の作品よりも何かしら進化することを心がけ”、そして、何よりも”人間の温もりのある映画を撮り続けてゆきたい”とグー・シャオガン監督は控えめに今後の抱負について述べている。
Under The Film:
2023年度の黒澤明賞をグー・シャオガン監督が受賞!
映画の未来を託してゆきたいこれからの映像作家に贈られる映えある黒澤明賞を今年はグー・シャオガン監督がインドネシアの映画監督モーリー・スリヤ監督と共に受賞者の一人として選ばれた。
『春江水暖〜しゅんこうすいだん』を観て、心に染み入る感銘を受けたという本賞の選考委員である山田洋次監督からの未来の映画界を担う逸材としての願いを込めて今回、選ばれたようだ。
Awards:
- 第36回東京国際映画祭:コンぺティション部門正式出品作
『西湖畔に生きる』(2023年・中国・1時間55分)
監督:
グー・シャオガン
出演:
ウー・レイ、ジャン・チンチン、チェン・ジェンビン 他
© Hangzhou Enlightenment Films Co., Ltd.