ボディ・ホラーへの回帰か⁉︎ クローネンバーグ監督最新作‼︎『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』
ボディ・ホラーの巨匠、デヴィッド・クローネンバーグが8年ぶりに発表したのは、まるで初期の作品群と呼応するかのようなグロテスクな作品。突然変異した内臓を持つアーティストを軸に、人類の進化の先に起こり得ることを観る者へと突き付ける!
Story:
人工的な環境で暮らすことに慣れて久しい人類の身体の変化は密かに進行し、突然変異しつつあった。
そして、セレブなパフォーマンス・アーティストであるソウル・テンサー(ヴィゴ・モーテンセン)とそのパートナー、カプリス(レア・セドゥ)は、ソウルの突然変異した内臓を大衆に見せるアヴァン・ギャルドなパフォーマンス・アートを行っていた。
そんな中、国立臓器移植登録所の調査官、ティムリン(クリステン・スチュワート)は、ソウルとカプリスの背後に謎の集団が存在することを突き止め、彼らの追跡を始めていた。
謎の集団は人類進化の次の段階へのステップ・アップのために過激さを増すソウルのグロテスクなパフォーマンスを利用しようとしていたのだった・・・。
Behind The Inside:
撮影が名手ピーター・サシツキーから交代へ
クローネンバーグ監督の代表作『戦慄の絆』(1988年)以降、作品の撮影を担当してきたピーター・サシツキーから撮影担当がダグラス・コックへと交代している。本作でどのような映像の変化が見られるのかは気になることの一つである。
また、35年間クローネンバーグ作品の衣装を担当してきた実姉で衣装デザイナー、デニース・クローネンバーグが2020年に他界したため、衣装担当も交代している。
Must Point:
クローネンバーグとヴィゴのコラボは、通算5作目!
デヴィッド・クローネンバーグ監督と俳優ヴィゴ・モーテンセンの縁は深く、クローネンバーグ監督は、ヴィゴを『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(2005年)、『イースタン・プロミス』(2007年)、『危険なメソッド』(2011年)の3本の主演に起用してきた。
そして、近年、監督業にも進出しているヴィゴは、メガホンを取った監督作『フォーリング 50年間の想い出』(2020年)で、1975年以降、俳優業も粛々と続けてきているクローネンバーグを出演者の一人として起用している。
もはや盟友と呼んで差し支えない間柄と言える。
Awards:
- 第75回カンヌ国際映画祭:コンペティション部門正式出品作品
『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー/Crimes of the Future』(2022年・カナダ・フランス・ギリシャ・イギリス・1時間47分)
監督:
デヴィッド・クローネンバーグ
出演:
ヴィゴ・モーテンセン、レア・セドゥ、クリステン・スチュワート、ドン・マッケラー、スコット・スピードマン、タナヤ・ビーティ、デニース・カペザ、リヒ・コーノスキー、ナディア・リッツ、エフィー・キャントサ 他
© Serendipity Point Films 2021.