
クラシック音楽指揮者の栄光と闇『TAR ター』
ケイト・ブランシェット主演!
才能溢れる音楽家のヒリヒリするような内面世界の光と影をカミソリのような鋭い映像で描くトッド・フィールド監督16年ぶりの意欲的な最新作。

Story:
舞台はクラシック音楽の本場ドイツ。
作曲家であり、指揮者のリディア・ター(ケイト・ブランシェット)は、世界のクラシック音楽界最高水準の才能と褒め称えられ、女性としては初めてのコンダクターとしてドイツの著名オーケストラの指揮に立つこととなる。
だが、職務から生じる凄まじいストレスとその音楽的才能の自信からあまりにも肥大化した自惚れ、そして巧みに仕組まれた妬みそねみにより、次第に心のバランスを崩してゆくのだった。
Behind The Inside:
監督は、俳優としてのキャリアの方が長い才人トッド・フィールド
クラシック音楽における才能と技術があってのキャリア、そして栄光と闇。
“天才”は決して褒め言葉ではないという真の意味をエッジの効いた映像とストーリー、そしてケイトの円熟味といった演技の世界での境界を易々と超えた”観る経験”とも言える狂演で語られる物語を作ったのは、長年俳優としてのキャリアを積み、典型的な二枚目アメリカ人俳優として、脇役からバディ映画、そして主演映画に出演してきた日本ではあまり馴染みのない俳優トッド・フィールドである。
トッドは監督デビュー作『イン・ザ・ベッドルーム』(2002年)でいきなりアカデミー賞・作品賞、主演男優賞(トム・ウィルキンソン)、主演女優賞(シシー・スペイセク)、助演女優賞、脚色賞の5部門にノミネートされる快挙を成し遂げ、続いて『リトル・チルドレン』(2006年)では、アカデミー賞、主演女優賞(ケイト・ウィンスレット)、助演男優賞、脚色賞にノミネートされている。
本作は2作目から数えて、なんと16年ぶりの新作映画となるが、前作、前々作同様、脚本も自ら執筆、タイトルに主人公の名を冠し、キャストたちの素晴らしい名演を得て、カミソリのような切れ味鋭い映画を完成させた。
Awards:
- 第95回アカデミー賞・ノミネート:作品賞、監督賞・トッド・フィールド、主演女優賞・ケイト・ブランシェット、脚本賞・トッド・フィールド、編集賞・モニカ・ウィリィ、撮影賞・フロリアン・ホーフマイスター
- ゴールデングローブ賞:主演女優賞(ドラマ部門)・ケイト・ブランシェット
- 第79回ヴェネチア国際映画祭:・主演女優賞(コンペティション部門)・ケイト・ブランシェット
『TAR ター/Tár』(2022年・アメリカ・2時間38分)
監督:
トッド・フィールド
出演:
ケイト・ブランシェット、ノエミ・メルラン、ニーナ・ホス、ソフィー・カウアー、ジュリアン・グローヴァー、アラン・コーデュナー、マーク・ストロング、シルヴィア・フロート、アダム・ゴプニック、シドニー・レモン、アレック・ボールドウィン、 他
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